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公正証書遺言の必要書類と費用|手数料の計算方法と証人のルール

公正証書遺言の必要書類と費用 遺言
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公正証書遺言は、公証人が遺言者の話を聞いて作る遺言書です。

形式の不備で無効になるおそれが小さく、家庭裁判所の検認もいらないため、確実に遺言を残したい人に選ばれています。

この記事では、日本公証人連合会の案内に沿って、必要書類・作成の流れ・手数料の計算方法・証人の決まりを、わかりやすく説明します。

先に結論
  • 必要書類は、本人確認書類(印鑑登録証明書か顔写真付きの身分証)、相続人との続柄がわかる戸籍、財産の資料など
  • 手数料は、財産を受け取る人ごとの財産額で決まる。財産全体が1億円以下なら1万3,000円の遺言加算がある
  • 証人が2人必要。相続人になる予定の人やその配偶者などは証人になれない
  • 公証人への相談は無料。自宅や病院に出張してもらうこともできる

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

公正証書遺言とは

公正証書遺言と自筆証書遺言(法務局保管)の違い

日本公証人連合会の説明によると、公正証書遺言は、遺言者が公証人と証人2人の前で遺言の内容を口頭で伝え、公証人がそれを文章にまとめて作成する遺言です。

内容に間違いがないかを遺言者と証人が確認したうえで、完成させます。

自筆証書遺言との違い

公正証書遺言 自筆証書遺言(法務局に保管)
書く人 公証人が作成。本人は署名するだけ(署名できない場合の措置もある) 本人が全文を手書き(財産目録を除く)
内容の相談 公証人に無料で相談できる 法務局では内容の相談はできない
出張 公証人が自宅・病院・施設に来てくれる 本人が法務局に行く必要がある
証人 2人必要 不要
検認 不要 不要
費用 公証人の手数料(財産額で変わる) 3,900円
手元に残るもの 正本・謄本に当たるもの(電子データか書面) 写しは残らない

自分で書くのが難しい人、判断能力について後で争われたくない人、病気などで出かけられない人には、公正証書遺言が向いています。

自筆証書遺言の書き方は自筆証書遺言の書き方と文例で解説しています。

公正証書遺言の必要書類

日本公証人連合会の案内では、次の資料を用意すると打ち合わせがスムーズに進むとされています。

書類 内容
本人確認書類 発行から3か月以内の印鑑登録証明書。または運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど顔写真付きの身分証明書
戸籍謄本・除籍謄本 遺言者と相続人の続柄がわかるもの
財産を受け取る人の住所がわかるもの 相続人以外の人に遺贈する場合。住民票や、住所の書かれた手紙・はがきなど(法人なら登記事項証明書)
不動産の資料 登記事項証明書と、固定資産評価証明書または固定資産税の課税明細書
預貯金の資料 通帳またはそのコピー
証人のメモ 自分で証人を用意する場合、証人予定者の氏名・住所・生年月日

事案によっては、ほかの資料が必要になることもあります。詳しくは、相談する公証役場で確認しましょう。

公正証書遺言を作る流れ

公正証書遺言ができるまでの流れ

日本公証人連合会の案内によると、一般的には次の流れで進みます。

  • STEP 1
    公証役場に相談する
    電話・メール・予約して訪問など。士業や銀行を通さず、本人や家族が直接相談してもかまわない
  • STEP 2
    メモと資料を出す
    どの財産を誰にどう渡したいかのメモと、必要書類を公証人に出す
  • STEP 3
    案を確認する
    公証人が遺言公正証書の案を作り、メールなどで示す。直したいところがあれば修正する
  • STEP 4
    作成の日時を決める
    公証役場に行くか、自宅・病院などに出張してもらう日時を決める
  • STEP 5
    当日の手続き
    遺言者が証人2人の前で内容を伝え、公証人が読み聞かせや閲覧で確認する。問題なければ、遺言者・証人・公証人が署名(電子サイン)して完成

当日は、遺言者が自分の意思で話せるよう、利害関係のある家族は席を外すのが一般的な運用です。

遺言公正証書は電子データで作られる

現在、遺言公正証書の原本は電磁的記録(電子データ)で作られ、公証人が保管します。

遺言者には、正本に当たるものと謄本に当たるものが、電子データまたは書面で交付されます。

改ざんすると記録が残る仕組みになっているため、書き換えを防げます。

公正証書遺言の手数料

手数料は、公証人手数料令という政令で決まっています。日本公証人連合会が公表している計算方法は次のとおりです。

手数料の基準表

財産の価額(受け取る人ごと) 手数料
50万円以下 3,000円
50万円超〜100万円以下 5,000円
100万円超〜200万円以下 7,000円
200万円超〜500万円以下 1万3,000円
500万円超〜1,000万円以下 2万円
1,000万円超〜3,000万円以下 2万6,000円
3,000万円超〜5,000万円以下 3万3,000円
5,000万円超〜1億円以下 4万9,000円
1億円超〜3億円以下 4万9,000円に、5,000万円を超えるごとに1万5,000円を加算

計算のルール

  • 受け取る人ごとに計算して合計する:財産全体ではなく、相続・遺贈を受ける人ごとの財産額を表に当てはめる
  • 遺言加算:財産全体が1億円以下のときは、1万3,000円を加算
  • 枚数の加算:原本を紙に出力した場合に3枚を超えると、1枚300円を加算
  • 正本・謄本に当たるもの:電子データなら1通2,500円、書面なら1枚300円
  • 出張の場合:病床で作る場合は手数料が50%加算されることがあるほか、公証人の日当(1日2万円、4時間以内なら1万円)と交通費がかかる

計算の例

公正証書遺言の手数料の計算例

財産が合計4,000万円で、妻に3,000万円、長男に1,000万円を相続させる遺言を、公証役場で作る場合です(正本・謄本などの交付手数料は除きます)。

項目 手数料
妻(3,000万円) 2万6,000円
長男(1,000万円) 2万円
遺言加算(全体が1億円以下) 1万3,000円
合計 5万9,000円

実際の手数料は、財産の評価や枚数などで変わります。正確な額は公証役場で確認してください。相談自体は無料です。

証人2人の決まり

公正証書遺言の証人になれない人

公正証書遺言には、証人2人の立会いが必要です。

日本公証人連合会の案内によると、次の人は証人になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(相続人になる予定の人)
  • 遺贈を受ける人
  • 推定相続人や遺贈を受ける人の配偶者・直系血族など

つまり、家族の多くは証人になれません。

適当な証人が見つからない場合は、公証役場で紹介してもらうこともできます。

作る前に決めておくこと

  • 財産の一覧:不動産・預貯金・株式・保険などを書き出す
  • 誰に何を渡すか:遺留分(配偶者・子・親の最低限の取り分)にも配慮する。遺留分は遺留分とは?で解説
  • 遺言執行者:遺言の内容を実現する人を決めておく
  • 予備の定め:財産を渡す相手が先に亡くなった場合に、誰に渡すかも決めておく
  • 付言事項:分け方の理由や家族への思いを残す

公正証書遺言があるかどうかを調べる方法

家族が亡くなったあと、公正証書遺言があるかどうかわからない場合は、公証役場で調べてもらえます。

一定の時期以降に作られた公正証書遺言は、全国の公証役場で検索できる仕組みになっています。

相続人などが、亡くなったことがわかる戸籍などを持って公証役場で申し出ます。

公正証書遺言によくある書き方

公正証書遺言の文案は公証人が作りますが、どんな条項が入るかを知っておくと、相談がスムーズになります。

条項 内容の例
財産を渡す 「遺言者は、次の不動産を長男〇〇に相続させる」
予備的な定め 「長男〇〇が遺言者より先に死亡したときは、前条の不動産を長男の子〇〇に相続させる」
遺言執行者 「遺言者は、この遺言の遺言執行者として長男〇〇を指定する」
付言事項 家族への感謝や、分け方の理由

特に「予備的な定め」は大切です。

財産を渡す相手が先に亡くなると、その部分の遺言は効力を失い、その財産について相続人全員で遺産分割協議をすることになるためです。

遺言執行者の指定と役割は遺言執行者とはで解説しています。

相続税がかかりそうな場合や、申告が必要か迷う場合は、税理士に相談すると具体的な税額を確かめられます。

財産以外の、葬儀や解約などの事務を頼む契約は死後事務委任契約とはで説明しています。

よくある質問

公証役場に行けない場合はどうすればいいですか?

公証人に自宅・病院・老人ホームなどに出張してもらえます。

その場合は、公証人の日当と交通費がかかり、病床で作成する場合は手数料が加算されることがあります。

体が不自由で署名ができません

遺言者が病気などで署名できない場合は、公証人が遺言者の署名に代わる措置をとることが法律上認められています。

耳が聞こえない方や話せない方も、通訳や筆談などの方法で公正証書遺言を作れます。

作ったあとで内容を変えられますか?

いつでも新しい遺言を作って変更できます。前の遺言と内容が食い違う部分は、新しい遺言が優先されます。

士業や銀行を通さないといけませんか?

通さなくても作れます。日本公証人連合会も、本人や家族が直接公証役場に相談してかまわないとしています。

財産が多い、相続人の関係が複雑、相続税も気になるといった場合は、専門家に内容を相談してから公証役場に行く方法もあります。

公正証書遺言にも遺言執行者は必要ですか?

必須ではありませんが、指定しておくと、預金の解約や不動産の名義変更を、遺言執行者が中心になって進められます。

相続人の1人を指定することも、専門家を指定することもできます。

家族に内容を知られずに作れますか?

作れます。公証人には守秘義務があり、作成の当日も、利害関係のある家族には席を外してもらうのが一般的な運用です。

ただし、証人2人は内容を知ることになります。

手元の公正証書遺言をなくしてしまいました

公正証書遺言の原本は公証役場で保管されているので、手元の正本や謄本に当たるものをなくしても、遺言の効力はなくなりません。

遺言者本人や、遺言者が亡くなったあとの相続人などは、公証役場で謄本の交付を請求できます。

公正証書遺言は、どこの公証役場でも作れますか?

全国どこの公証役場でも作れます。住所地の近くでなくてもかまいません。

ただし、公証人に自宅や病院に出張してもらう場合は、その地域を担当する法務局の管内の公証人に頼む必要があります。

公正証書遺言の相談前に、家族に話しておくべきですか?

法律上は、家族に知らせる義務はありません。

ただし、遺言執行者に指定する人や、遺言があることを知っていてほしい家族には、公正証書遺言を作ったことと保管場所を伝えておくと、相続が始まったときに手続きがスムーズに進みます。

公正証書遺言を作ったあと、財産が増えたり減ったりしたら?

遺言を作ったあとに財産が変わっても、遺言そのものが無効になるわけではありません。

遺言に書いていない財産は、相続人全員の遺産分割協議で分けることになるので、「その他一切の財産は〇〇に相続させる」という条項を入れておくと安心です。

予約なしで公証役場に行っても大丈夫ですか?

相談の前に、電話で予約を入れておくのが確実です。

まとめ

  • 公正証書遺言は、公証人が作る確実な遺言。検認不要で、出張も頼める
  • 必要書類は、本人確認書類・戸籍・財産の資料・証人のメモなど
  • 手数料は受け取る人ごとの財産額で計算し、全体が1億円以下なら1万3,000円の遺言加算
  • 証人は2人。相続人になる予定の人やその家族はなれない。公証役場で紹介も受けられる

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:日本公証人連合会「公証事務 2 遺言」Q1・Q3・Q4・Q5・Q7、Q3(遺言書保管制度との比較)

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