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直葬(火葬式)とは?流れ・費用の内訳と見積もりの確認点・葬祭費と相続税・菩提寺への相談(チェックリスト無料)

相続手続き
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通夜や告別式を行わず、火葬だけで故人を見送る形を「直葬(ちょくそう)」といいます。

「火葬式」と呼ばれることもあります。

費用や負担を抑えられる一方で、親族やお寺との関係、亡くなってから火葬までの安置など、事前に知っておきたい点もあります。

この記事では、直葬の流れと費用の内訳、見積もりで確認すること、葬祭費や相続税の葬式費用との関係を、法律と自治体・国税庁の資料をもとに整理します。

段取りのチェックリストと見積もりの確認表は、Wordで用意しました。

先に結論
  • 直葬は、通夜・告別式を行わず、近親者だけで火葬をする葬送の形。法律で決められた形式ではない
  • 火葬は、亡くなってから24時間を経過した後でなければできない(墓地、埋葬等に関する法律3条)。それまでの安置場所が必要
  • 火葬には市区町村長の許可が必要。死亡届と一緒に申請するのが一般的
  • 国民健康保険の葬祭費は、自治体によっては火葬だけでも支給される(例:横浜市は葬式・埋葬・火葬を行った人に5万円)
  • 火葬の費用は、相続税の計算で遺産から差し引ける葬式費用に含まれる(国税庁No.4129)
  • 菩提寺がある場合は、納骨のことも含めて事前に相談しておく

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

直葬とは

一般葬・家族葬・一日葬・直葬の違い

直葬は、通夜や告別式を行わず、火葬だけを行う葬送の形です。

参列するのは家族やごく近い親族だけで、火葬場で最後のお別れをして見送ります。

「直葬」「火葬式」「炉前式」などと呼び方はさまざまですが、法律で決まった形式や名称があるわけではありません。

葬儀社によっては、火葬場の炉の前で短い読経をしてもらうプランなどもあります。

家族葬・一日葬との違い

形式 通夜 告別式 主な特徴
一般葬 行う 行う 知人や仕事関係の人も参列する
家族葬 行う 行う 参列を家族・親族などに限る
一日葬 行わない 行う 告別式と火葬を1日で行う
直葬(火葬式) 行わない 行わない 火葬場でお別れをして火葬する

家族葬の流れや見積もりの確かめ方は家族葬とは?で説明しています。

直葬を選ぶ理由

  • 故人が「葬儀は簡素に」と希望していた
  • 高齢で、知らせる知人や親族が少ない
  • 葬儀の費用を抑えたい
  • 遠方の家族が多く、通夜・告別式の日程を組みにくい

どの形を選ぶかに正解はありません。

故人の希望と、家族・親族の気持ちの両方を考えて決めましょう。

直葬の流れ

直葬の流れ

亡くなってから火葬が終わるまでの、一般的な流れは次のとおりです。

順番 やること ポイント
1 死亡診断書(死体検案書)を受け取る 死亡届と一体の用紙になっている
2 葬儀社に連絡し、搬送と安置場所を決める 病院の霊安室には長く置けないことがある
3 葬儀社と打ち合わせ、見積もりを確認する 火葬場の空き状況で日程が決まる
4 死亡届の提出と火葬許可の申請 死亡を知った日から7日以内(戸籍法86条)
5 納棺 家族で故人を整え、棺に納める
6 火葬場で最後のお別れ 読経や献花をする場合もある
7 火葬・収骨 許可証は火葬済みの記入を受けて返される

火葬場での当日の流れ

  1. 出棺の前に、安置場所で花や思い出の品を棺に納める
  2. 火葬場に到着し、火葬許可証を火葬場に渡す(葬儀社が手続きすることが多い)
  3. 炉の前で最後のお別れをする(焼香や献花、読経を頼んでいる場合は読経)
  4. 火葬の間は控室などで待つ
  5. 収骨(遺骨を骨壺に納める)
  6. 火葬を行ったことが記入された許可証を受け取る

棺に入れられない物(燃えにくい物など)は火葬場によって決まりがあるので、葬儀社に確認してから納めましょう。

収骨の作法や、骨壺の大きさは地域によって違います。

分骨する場合

遺骨を2か所以上に分けて納める(分骨する)予定がある場合は、火葬のときに火葬場へ伝えておきましょう。

火葬場の管理者は、分骨を納めようとする人から請求があったときは、火葬の事実を証明する書類を交付しなければならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律施行規則5条)。

分骨したお骨を別のお墓などに納めるときは、この書類を納める先の管理者に提出します。

亡くなってから24時間は火葬できない

墓地、埋葬等に関する法律は、埋葬や火葬は、ほかの法令に別段の定めがある場合を除き、死亡後24時間を経過した後でなければ行ってはならないと定めています(3条)。

そのため、直葬でも、少なくとも火葬までの間は故人を安置する場所が必要です。

火葬場が混み合う時期は、数日待つこともあります。

安置場所の選び方

安置場所 特徴 確認すること
自宅 家族でゆっくりお別れができる 部屋の広さ、搬入経路、ドライアイスなどの処置
葬儀社の安置施設 自宅に安置できない場合に使える 1日あたりの安置料、面会できる時間
火葬場の保管施設 火葬場によっては遺体の保管ができる 利用できるか、料金、面会の可否

安置の日数が延びると、安置料やドライアイスの費用も増えます。

見積もりで、何日分の安置が含まれているかを確認しておきましょう。

死亡届と火葬許可

死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に出さなければなりません(戸籍法86条1項)。

火葬をするには、市区町村長の許可が必要です(墓地、埋葬等に関する法律5条)。

実際には、死亡届と同時に火葬許可を申請することが多く、葬儀社が窓口への提出を手伝うこともあります。

火葬が終わると、許可証に火葬を行ったことが記入されて返されます。

納骨のときに墓地の管理者に出すので、遺骨と一緒に大切に保管してください。

死亡届の書き方は死亡届の書き方と出し方で説明しています。

直葬の費用の内訳

直葬の費用は、葬儀社のプラン、安置の日数、火葬場の料金などで変わります。

主な内訳は次のとおりです。

項目 内容 変わりやすい理由
搬送 病院などから安置場所、安置場所から火葬場への寝台車・霊柩車 距離や回数、深夜早朝かどうか
安置 安置施設の利用料、ドライアイス 火葬までの日数
棺・骨壺・仏衣など 火葬に必要な物品 選ぶ品の種類
火葬料 火葬場に払う料金 公営か民営か、住民かどうかで料金が違う
手続きの代行・人件費 役所の手続きの手伝い、当日の運営 プランに含まれるかどうか
宗教者へのお礼 炉前での読経などを頼む場合 依頼するかどうか、寺院との関係

公営の火葬場では、亡くなった人や喪主がその自治体の住民かどうかで、火葬料が違うことがあります。

利用する火葬場の料金は、自治体や火葬場の案内で確認してください。

見積もりで確認すること

  • プランの料金に含まれるもの(搬送の回数・距離、安置の日数、棺・骨壺など)
  • 火葬料が含まれているか、別に払うのか
  • 安置が延びたときの1日あたりの追加料金
  • 深夜・早朝の搬送の追加料金
  • 宗教者を手配する場合の費用の扱い
  • 支払いの時期と方法

急いで決めると、内訳を確かめないまま契約してしまうことがあります。

見積書は書面でもらい、追加になる条件まで確認しましょう。

前もって葬儀社の資料を取り寄せ、プランの内容を比べておくと、慌てずに済みます。

葬儀社の費用を前もって比べたいとき

葬儀費用は、選ぶプランと追加の費用で大きく変わります。

資料を取り寄せて総額の内訳を見ておくと、葬儀社を比べやすくなります。

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プランの内容と料金は公式サイトで確認してください。

直葬で気をつけること

親族の理解を得ておく

直葬では、通夜や告別式がないため、故人とお別れする機会が限られます。

あとから「お別れをしたかった」という声が出ることもあるので、近い親族には事前に直葬にする理由を伝えておきましょう。

故人が生前に希望していた場合は、エンディングノートや遺言の内容を親族と共有すると理解を得やすくなります。

菩提寺がある場合

先祖のお墓があるお寺(菩提寺)がある場合は、直葬にする前にお寺に相談しておきましょう。

お寺によっては、葬儀を行わないことについて考え方が違うことがあり、その後の納骨や法要の進め方に関わります。

納骨の予定があるなら、どのような形で供養をしてもらえるかを、事前に確認しておくと安心です。

お墓の名義や納骨の手続きはお墓の名義変更(承継)の手続きで説明しています。

後日の弔問やお知らせ

直葬のあと、亡くなったことを知った知人が自宅に弔問に来ることがあります。

家族の負担を減らすために、必要に応じて事後報告のはがきやお別れ会で知らせる方法もあります。

事後報告の文例は家族葬とは?、年末の知らせ方は喪中はがきの書き方と文例で紹介しています。

火葬のあとの遺骨の行き先

直葬のあとも、遺骨をどこに納めるかを決める必要があります。

行き先 内容 詳しい記事
先祖のお墓に納骨する 墓地の管理者に許可証を出して納骨する お墓の名義変更
永代供養・樹木葬 お寺や霊園が管理・供養する 永代供養と樹木葬の違い
新しくお墓を建てる 墓地を探して墓石を建てる お墓を建てる費用と流れ
しばらく自宅で保管する 納骨先が決まるまで手元に置く 四十九日や一周忌を目安に考える家族もいる

墓地や納骨堂の管理者は、火葬を行ったことが分かる許可証などを受け取らなければ、遺骨の埋蔵や収蔵をさせてはならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律14条)。

火葬のあとに返された許可証は、納骨まで必ず保管しておきましょう。

法要の準備は四十九日・一周忌・三回忌の法要の準備で説明しています。

生前に直葬を考えておく場合

自分の葬儀は直葬でよいと考えている人は、家族が迷わないように希望を残しておきましょう。

  • エンディングノートに、直葬を希望することと、その理由を書いておく
  • 連絡してほしい人、知らせなくてよい人を書いておく
  • 菩提寺がある場合は、供養や納骨の希望も書いておく
  • 葬儀社の資料を取り寄せ、家族と内容を共有しておく

書き方はエンディングノートの書き方で説明しています。

死後の手続きを家族以外に頼みたい場合は、死後事務委任契約という方法もあります。

葬祭費・埋葬料と直葬

故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬祭を行った人に葬祭費が支給されます(国民健康保険法58条など)。

直葬(火葬のみ)が対象になるかどうかや金額は、自治体などによって違います。

たとえば横浜市の国民健康保険は、加入者が亡くなったとき、葬祭(葬式・埋葬・火葬)を行った人に5万円を支給すると案内しています。

申請には、喪主であることが分かる書類として、火葬代の領収書なども使えるとされています。

故人が会社の健康保険に加入していた場合は、埋葬料などの対象になります(健康保険法100条)。

申請先や必要書類は葬祭費・埋葬料の申請で説明しています。

申請には期限があるので、領収書は捨てずに保管しておきましょう。

直葬の費用と相続

直葬の費用と葬祭費・相続税

相続税では葬式費用として差し引ける

相続税の計算では、相続人などが負担した葬式費用を、遺産の額から差し引くことができます(相続税法13条)。

国税庁は、葬式費用になるものとして、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用を挙げています(タックスアンサーNo.4129)。

遺体の回送にかかった費用も含まれます。

直葬の火葬費用や搬送費用も、これに当たります。

一方、香典返しの費用や、初七日など法事の費用、墓石や墓地の費用は含まれません。

相続税の申告が必要な場合は、領収書をまとめて税理士に相談してください。

故人の預金から払う場合

故人の預金口座は、銀行が死亡を知ると取引が止まります。

葬儀費用を故人の預金から払いたい場合は、遺産分割の前でも一定額まで払戻しを受けられる制度があります。

制度の内容と、相続放棄を考えている場合の注意は葬儀費用は誰が払う?で説明しています。

喪主のやること

直葬でも、葬儀社との打ち合わせや役所の手続き、親族への連絡などを取りまとめる人が必要です。

喪主の決め方とやることは喪主の決め方とやること一覧で説明しています。

直葬の段取りチェックリスト(Word・無料)

直葬の段取りを確認するチェックリストと、見積もりの確認表をWordで用意しました。

  • 亡くなった直後から火葬・収骨までの段取り
  • 安置場所と日数、火葬場の予約の確認
  • 見積もりの確認表(含まれるもの・追加料金の条件)
  • 親族・菩提寺への連絡と、後日のお知らせのメモ
  • 領収書の保管欄(葬祭費・相続税の葬式費用)

よくある質問

直葬でもお経をあげてもらえますか?

葬儀社のプランや宗教者によっては、火葬場の炉の前で短い読経をしてもらうことができます。

依頼する場合は、費用の扱いも含めて事前に確認しましょう。

直葬のあとにお別れ会をしてもいいですか?

してかまいません。

直葬のあと、日を改めて親しい人と故人をしのぶ会を開く家族もいます。

直葬でも香典を受け取りますか?

受け取るかどうかに決まりはありません。

受け取らない場合は、事前に親族へ伝えておくと、当日の対応で迷わずに済みます。

受け取った場合のお返しは香典返しの相場・時期・挨拶状で説明しています。

火葬場はどこでも選べますか?

民営の火葬場や、ほかの自治体の火葬場を使うこともできますが、料金や予約の条件が違います。

公営の火葬場は住民でない場合に料金が高くなることがあるので、葬儀社に相談して決めましょう。

葬儀の費用を出せない場合はどうすればいいですか?

生活保護法には葬祭扶助という制度があり、困窮のため最低限度の生活を維持できない人に対して、検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨などの範囲で扶助が行われます(生活保護法18条1項)。

亡くなった人が生活保護を受けていて、葬祭を行う扶養義務者がいない場合などにも、葬祭を行う人に対して扶助が行われることがあります(同条2項)。

利用できるかどうかは、葬儀の前に市区町村の福祉事務所に相談してください。

直葬の費用は誰が払いますか?

法律で決まりはありません。

喪主が払う家族もあれば、相続人で分担する家族もあります。

あとでもめないよう、支払う前に誰がどう負担するかを話し合っておきましょう。

まとめ

  • 直葬は、通夜・告別式を行わず火葬だけで見送る形。法律上の決まった形式ではない
  • 亡くなってから24時間は火葬できないので、安置場所を先に決める
  • 死亡届は7日以内、火葬には市区町村長の許可が必要
  • 見積もりは書面でもらい、含まれるものと追加料金の条件を確認する
  • 親族や菩提寺には事前に相談しておく
  • 葬祭費や相続税の葬式費用のために、領収書を保管する

参考にした資料

  • 墓地、埋葬等に関する法律3条・5条・14条、同法施行規則5条、戸籍法86条
  • 国民健康保険法58条、健康保険法100条、相続税法13条、生活保護法18条
  • 横浜市「葬祭費の支給」、国税庁タックスアンサーNo.4129(相続財産から控除できる葬式費用)
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