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未登記建物の相続|遺産分割協議書の書き方・表題登記・市区町村への届出

未登記建物の相続 相続した不動産
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相続した実家を調べてみたら、建物が「未登記」だった。

古い家や、増築した部分、離れ・倉庫などでは、こうしたことが珍しくありません。

未登記の建物も相続財産ですが、登記がないため、遺産分割協議書への書き方や、売るときの手続きに注意が必要です。

この記事では、不動産登記法と法務局の案内をもとに、未登記建物の見つけ方、相続のときの手続き、表題登記と所有権保存登記の流れを、わかりやすく説明します。

先に結論
  • 未登記建物も相続財産。固定資産税の課税明細書や名寄帳で見つかることが多い
  • 遺産分割協議書には、家屋番号の代わりに所在・種類・構造・床面積などで建物を特定して書く
  • 登記するには、まず表題登記(土地家屋調査士の業務)、次に所有権保存登記をする
  • 登記しない場合も、市区町村に未登記家屋の所有者変更の届出が必要になることが多い

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。

法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

未登記建物とは

建物の登記には、大きく2つの部分があります。

登記 内容
表題部(表題登記) 建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積など、建物の物理的な状況
権利部(所有権保存登記など) 誰が所有者か、抵当権などの権利

「未登記建物」は、一般に、表題登記そのものがされていない建物をいいます。

法務局に登記の記録がないので、登記事項証明書を取ることもできません。

なぜ未登記の建物があるのか

  • 住宅ローンを使わずに建てたため、登記をしないままになった
  • 昔建てた家で、登記の必要性が知られていなかった
  • 母屋は登記したが、あとから建てた離れ・倉庫・車庫を登記していない
  • 増築した部分だけ登記に反映されていない(床面積が実際と違う)

建物の表題登記は、本来、建物を新築した人などが1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法47条)。

ただ、実際には未登記のまま何十年も経っている建物も少なくありません。

未登記建物の見つけ方

未登記建物の見つけ方

未登記の建物でも、市区町村は固定資産税をかけています。

そのため、固定資産税の資料で見つかることが多くあります。

  • 固定資産税の課税明細書:家屋の欄に、家屋番号がなく「未登記」や「未」と書かれていることがある
  • 名寄帳:市区町村が作っている所有者ごとの不動産の一覧。未登記の家屋も載っている
  • 登記事項証明書との照合:土地の上にある建物と、登記されている建物を見比べる

名寄帳の取り方は相続財産の調べ方で解説しています。

なお、2026年2月に始まった所有不動産記録証明制度は、登記されている不動産を検索する制度なので、未登記の建物は出てきません。

未登記建物も相続財産になる

登記がなくても、建物は亡くなった方の財産です。

遺言書がなければ、相続人全員の遺産分割協議で、誰が受け継ぐかを決めます。

遺産分割協議書への書き方

未登記建物には家屋番号がないため、固定資産税の課税明細書や評価証明書の記載をもとに、建物を特定して書きます。

相続人〇〇〇〇は、次の未登記建物を取得する。

所在 〇〇市〇〇町〇丁目〇番地〇

家屋番号 なし(未登記)

種類 居宅

構造 木造瓦葺平家建

床面積 〇〇.〇〇平方メートル

(令和〇年度固定資産税課税明細書記載のもの)

所在は、建物が建っている土地の地番で書きます。

「その他一切の財産は〇〇が取得する」という条項だけでは、未登記建物が含まれるかがはっきりしないことがあるので、個別に書いておくと安心です。

協議書の全体の書き方は遺産分割協議書の書き方|Word雛形4パターンで解説しています。

相続税での評価

未登記の建物も、相続税の計算では財産に含めます。

建物は、原則として固定資産税評価額で評価します。未登記でも固定資産税がかかっていれば、評価証明書で評価額がわかります。

未登記建物を相続したときの選択肢

未登記建物を相続したときの3つの選択肢

選択肢 向いているケース
表題登記と所有権保存登記をする 住み続ける、売る、担保に入れる予定がある
未登記のままにして、市区町村に届け出る 当面は住むだけで、売る予定がない(ただし将来の手続きは増える)
取り壊す 古くて使わない。土地を売るために更地にする

登記をする場合の流れ

未登記建物を登記する流れ

  • STEP 1
    表題登記をする
    建物の所在・種類・構造・床面積などを登記する。建物の図面や所有権を証明する書類が必要で、土地家屋調査士に依頼するのが一般的
  • STEP 2
    所有権保存登記をする
    表題登記のあとに、所有者を登記する。自分で申請するか、司法書士に依頼する
  • STEP 3
    登記事項証明書で確認する
    受け継いだ人の名義で登記されたことを確認する

相続人の名義で直接登記できる

未登記建物を相続した場合、亡くなった方の名義で登記してから相続登記をする必要はありません。

建物を受け継いだ相続人が、自分を所有者として表題登記を申請し、そのあと自分の名義で所有権保存登記をすることができます。

その際、相続を証明する書類として、戸籍や遺産分割協議書などを添付します。

表題登記に必要な主な書類

  • 建物表題登記申請書
  • 建物図面・各階平面図(土地家屋調査士が作るのが一般的)
  • 所有権を証明する書類(固定資産税の評価証明書、建築確認済証、工事完了引渡証明書など)
  • 相続を証明する書類(戸籍、遺産分割協議書、印鑑証明書など)
  • 申請する人の住民票

古い建物で建築確認済証などがない場合は、固定資産税の資料などを組み合わせて所有権を証明します。

費用の目安

手続き 費用
表題登記 登録免許税はかからない。土地家屋調査士に依頼する場合は報酬がかかる
所有権保存登記 登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)。司法書士に依頼する場合は報酬がかかる

表題登記は、建物の調査や図面の作成が必要なため、土地家屋調査士の業務とされています。

登記を頼む専門家の違い

専門家 担当する登記
土地家屋調査士 表題登記(建物の調査・測量・図面の作成)、表題部の変更登記、滅失登記
司法書士 所有権保存登記、相続登記、抵当権の登記など(権利に関する登記)

未登記建物を登記するときは、土地家屋調査士と司法書士の両方が関わることが多くなります。

どちらかに相談すれば、提携している専門家を紹介してもらえることもあります。

未登記建物がある実家を売るとき

未登記の建物が建ったままの土地を売る場合は、次のどれかの方法をとるのが一般的です。

  • 建物を登記してから、土地と一緒に売る:買主が住宅ローンを使う場合は、登記が求められることが多い
  • 建物を取り壊して、更地で売る:古い建物で価値がない場合に選ばれる
  • 未登記のまま、建物付きで買取業者に売る:業者によっては対応してもらえるが、価格は下がりやすい

どの方法がよいかは、建物の状態や買主の事情によって変わります。

売却を考えているなら、不動産会社に相談するときに「未登記の建物がある」ことを最初に伝えましょう。

相続した実家の売り方は相続した実家は売る?残す?で解説しています。

相続した不動産の売却・買取の相談先

未登記の建物がある実家は、そのままの状態で相談できる買取業者に当たるのも1つの方法です。

ラクウルは、再建築不可・共有持分・借地権・事故物件など、訳あり不動産の買取を扱う不動産会社です。

「相続の窓口」として相続不動産の相談を無料で受け付けていて、査定を受けても売る義務はありません。

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共有持分・借地権・再建築不可などの買取の相談先

ワケガイは、株式会社ネクスウィルが運営する、訳あり不動産の買取サービスです。

共有持分、借地権のある物件、再建築不可物件、事故物件、長く空いている空き家などを扱っています。

仲介では売りにくい物件は、複数の買取業者に査定を頼んで比べてみましょう。

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登記しない場合の届出

未登記の建物は、法務局の登記で所有者の変更がわからないため、市区町村に届け出る必要があります。

多くの市区町村では、「未登記家屋所有者変更届(名義変更届)」などの様式を用意しています。

  • 届け出る人:建物を相続した人
  • 主な添付書類:戸籍、遺産分割協議書の写しなど(市区町村によって違う)
  • 届け出ないと、固定資産税の納税通知書が亡くなった方の名義などで届き続けることがある

様式や必要書類は市区町村ごとに違うので、建物がある市区町村の資産税課などに確認しましょう。

未登記のままにしておくリスク

  • 売れない・担保にできない:買主や銀行は、登記のない建物を取引の対象にしにくい
  • 次の相続で手続きが複雑になる:何代も未登記のままだと、所有者を証明するのに多くの書類が必要になる
  • 第三者に権利を主張しにくい:登記がないと、所有者であることを第三者に対抗できない場面がある
  • 表題登記の申請義務:法律上は、表題登記のない建物の所有権を取得した人にも、1か月以内の申請義務がある。申請を怠ると10万円以下の過料の対象になりうる

相続登記の義務化との関係

2024年4月から始まった相続登記の義務化は、所有権の登記がある不動産を相続した人に、3年以内の相続登記を義務づけるものです。

未登記建物は、そもそも所有権の登記がないので、相続登記の義務とは別に、表題登記の義務の問題になります。

相続登記の義務化については相続登記の必要書類と自分でやる手順で解説しています。

取り壊す場合

未登記の建物を取り壊す場合は、登記がないので、法務局への建物滅失登記は不要です。

ただし、市区町村の固定資産税の台帳には載っているので、「家屋滅失届」などを市区町村に出します。

届け出ないと、取り壊したあとも建物の固定資産税がかかり続けることがあります。

登記されている建物を取り壊したときの手続きは建物滅失登記のやり方で説明しています。

よくある質問

増築部分だけ未登記の場合はどうしますか?

登記されている建物に増築した部分がある場合は、建物の表題部の変更登記(床面積の変更など)をします。

増築部分を登記しないまま売ろうとすると、買主や銀行から登記を求められることがあります。

未登記建物を相続人の共有にできますか?

できます。

ただし、登記をするときや売るときに共有者全員の協力が必要になるので、できるだけ1人が受け継ぐ形にしておくと、あとの手続きが楽です。

未登記建物の固定資産税は、誰が払いますか?

市区町村の課税台帳に所有者として登録されている人が払います。

相続したら、未登記家屋の所有者変更の届出をして、受け継いだ人に納税通知書が届くようにしましょう。

未登記建物があることを、相続人全員に知らせる必要はありますか?

未登記建物も遺産なので、遺産分割協議の対象になります。

ほかの相続人に知らせずに協議書を作ると、あとで「その建物は協議に含まれていない」と争いになることがあります。

財産目録に載せて、全員で確認しましょう。

何十年も前に建てた建物でも、表題登記はできますか?

できます。

建築確認済証などの書類がなくても、固定資産税の評価証明書や、建物を建てたときの資料などを組み合わせて、所有権を証明します。

必要な書類は建物ごとに違うので、土地家屋調査士に相談しましょう。

未登記建物を遺言書で渡すことはできますか?

できます。

遺言書でも、所在・種類・構造・床面積など、固定資産税の課税明細書の記載をもとに建物を特定して書きます。

「自宅の土地・建物を長男に相続させる」とだけ書くより、未登記建物であることがわかるように書いておくと、手続きがスムーズです。

未登記建物を相続人以外に売ることはできますか?

売ること自体はできますが、登記がないと買主が所有権を第三者に主張しにくいため、登記をしてから売るのが一般的です。

買主が住宅ローンを使う場合は、登記が必須になることがほとんどです。

表題登記は自分でもできますか?

本人が申請することはできますが、建物の図面の作成や測量が必要で、専門的な知識が求められます。

一般的には、土地家屋調査士に依頼します。

固定資産税の課税明細書に載っていない建物もありますか?

あります。

小さな物置など、固定資産税の対象にならない建物や、市区町村が把握していない建物は、課税明細書にも名寄帳にも載っていないことがあります。

現地で確認しましょう。

未登記建物の相続税の申告はどうしますか?

相続税の申告が必要な場合は、未登記建物も家屋として、固定資産税評価額で申告書の第11表に書きます。

評価額は、市区町村で取る固定資産評価証明書で確認できます。

まとめ

  • 未登記建物も相続財産。固定資産税の課税明細書や名寄帳で見つかる
  • 遺産分割協議書には、所在・種類・構造・床面積などで建物を特定して書く
  • 登記するなら、表題登記(土地家屋調査士)→所有権保存登記の順。相続人の名義で直接登記できる
  • 登記しない場合も、市区町村に所有者変更の届出をする
  • 未登記のままだと、売却や次の相続で困る。取り壊すときは市区町村に家屋滅失届を出す

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。

遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。

詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:不動産登記法44条・47条・74条・164条/法務局「建物の表題登記」の案内/登録免許税法(2026年9月25日確認)

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