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空き家バンクとは?登録の流れ・メリットと注意点・仲介手数料の上限と売り方の比較

空き家バンクとは 相続した不動産
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相続した実家が空き家になり、「空き家バンクに登録すれば売れるのでは」と考える方は多いでしょう。

空き家バンクは、市区町村が空き家を貸したい人・売りたい人と、使いたい人をつなぐ仕組みです。

費用をかけずに登録できる一方で、買い手が見つかるまで時間がかかることもあります。

この記事では、国土交通省の資料や法令をもとに、空き家バンクの仕組み、登録の流れ、向いている家・向いていない家、ほかの売り方との比べ方を説明します。

先に結論
  • 空き家バンクは市区町村の制度。登録の条件や手続きは自治体ごとに違う
  • 国の「全国版空き家・空き地バンク」には1,134自治体が参加し、掲載は19,075件(令和8年2月末)
  • 登録には相続登記と、共有なら共有者全員の同意が必要になることが多い
  • 売買の契約は、多くの場合自治体と協定を結んだ不動産会社が仲介する
  • 早く手放したいなら、空き家バンクと買取査定を並行して比べると判断しやすい

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

空き家バンクとは

空き家バンクは、空き家の持ち主から申し込みを受けた市区町村が、その情報をホームページなどで公開し、移住希望者などの利用者を探す仕組みです。

法律で決まった全国共通の制度ではなく、それぞれの自治体が独自に運営しています。

そのため、登録できる物件の条件、申し込みの書類、仲介のしかたは自治体ごとに違います。

全国版空き家・空き地バンク

全国版空き家・空き地バンクの参加自治体数・掲載件数・成約件数(令和8年2月末)

自治体ごとのバンクは、項目がばらばらで探しにくいという課題がありました。

そこで国土交通省は、自治体の空き家情報をまとめて検索できる「全国版空き家・空き地バンク」を用意しました。

運営は、国土交通省が公募で選んだ株式会社LIFULLとアットホーム株式会社の2社です。

項目 数字(令和8年2月末)
参加している自治体 1,134自治体(1,788自治体のうち63%)
掲載されている物件 19,075件(2社の合計)
これまでに成約した物件 約24,700件(自治体へのアンケートなど)

持ち主が全国版に直接登録するのではなく、自治体のバンクに登録した物件が全国版にも載る流れです。

実家のある市区町村が全国版に参加しているかどうかは、自治体の窓口かホームページで確認しましょう。

空き家バンクに登録するメリット

メリット 内容
登録にお金がかからない 自治体への登録は無料のことが多い
移住希望者などに届く その地域に住みたい人が物件を探しに来る
ふつうの市場で扱われにくい家も載せられる 価格が低く、不動産会社が積極的に扱いにくい家でも登録できることがある
自治体の補助と組み合わせられることがある バンクの物件の改修や片付けに補助金を出す自治体もある

補助金の有無や金額は自治体によって違い、年度ごとに予算が決まります。

使えるかどうかは、実家のある自治体に確認してください。

空き家バンクのデメリットと注意点

注意点 内容
いつ売れるか分からない 利用希望者が現れるまで待つ仕組みなので、期間の見通しが立ちにくい
自治体は交渉や契約をしない 自治体は情報を載せるだけで、価格交渉や契約には関わらないことが多い
持ち主の手間がかかる 内覧の対応、片付け、修理の相談などが必要になることがある
登録の条件がある 相続登記が済んでいない家、危険な状態の家などは登録できないことがある
待っている間も費用がかかる 固定資産税や管理の費用は、売れるまで払い続ける

当事者どうしで契約する場合のリスク

自治体によっては、持ち主と利用者が直接話し合って契約する方式をとっています。

この場合、不動産会社による重要事項の説明がないため、建物の不具合や境界などで後から揉めるおそれがあります。

売買なら、不動産会社に仲介を頼むか、契約書の内容を専門家に確認してもらうと安心です。

登録の流れ

空き家バンクに登録する一般的な流れ

一般的な流れは次のとおりです。

細かい手順は自治体によって違うので、最初に窓口へ相談しましょう。

順番 やること
1. 相談 市区町村の空き家バンクの窓口に、登録できるか相談する
2. 申し込み 登録申込書、物件の情報を書いた書類、写真などを出す
3. 現地の確認 自治体や協力する不動産会社が、建物の状態を確認する
4. 公開 自治体のホームページや全国版バンクに物件情報が載る
5. 交渉・契約 利用希望者から申し込みがあれば、不動産会社の仲介などで話を進める

相続した家を登録する前にすること

相続した家を登録するときは、先に次のことを済ませておく必要があります。

  • 相続登記:名義が亡くなった親のままだと、売ることも貸すこともできない。2024年4月からは、相続を知った日から3年以内の登記が義務
  • 共有者の同意:兄弟などで共有している場合は、売る・貸すのに全員の同意が必要
  • 家財の整理:家財が残ったままだと内覧しにくい。残す物と処分する物を決める

相続登記の手順は相続登記の必要書類と自分でやる手順で説明しています。

窓口で確認しておきたいこと

  • 売却と賃貸のどちらで登録できるか
  • 登録の条件(相続登記・耐震・建物の状態など)
  • 契約は不動産会社が仲介するか、当事者どうしか
  • 協定を結んでいる不動産会社と、仲介手数料の目安
  • 全国版空き家・空き地バンクにも掲載されるか
  • 改修・片付け・解体に使える補助金があるか
  • 登録の有効期間と、更新や取り下げの方法

確認した内容はメモに残し、相続人の間で共有しておくと、あとで話がこじれにくくなります。

登録できないことがある家

自治体の要綱で、次のような家は登録を断られることがあります。

  • 倒壊のおそれがあるなど、そのままでは使えない家
  • 名義や権利関係がはっきりしない家(相続登記が済んでいない、共有者の同意がないなど)
  • すでに不動産会社と専任の媒介契約を結んでいる家
  • 建築基準法などの制限で、利用が難しい家

登録できなかった場合でも、買取業者なら現状のまま査定してもらえることがあります。

売ったあとの責任(契約不適合責任)

家を売ったあとに、雨漏りやシロアリの被害など、契約の内容に合わない不具合が見つかることがあります。

この場合、売主は買主から、修理や代金の減額、損害賠償などを求められることがあります(民法562条〜564条)。

相続した家は、売主が中の状態をよく知らないことが多いので、特に注意が必要です。

  • 分かっている不具合は、契約書や告知書にすべて書く
  • 個人どうしの売買なら、責任を負う期間や範囲を契約書で決めておく
  • 建物の状態を調べるインスペクション(建物状況調査)を使う

なお、売主が知っていて告げなかった不具合は、契約で責任を免除していても責任を負います(民法572条)。

買取業者に売る場合は、この責任を負わない条件で契約できることが多く、古い家を手放すときの判断材料になります。

仲介手数料の上限(800万円以下の空き家)

800万円以下の空き家の仲介手数料の上限(2024年7月から税込33万円)

空き家バンクの物件の売買では、自治体と協定を結んだ不動産会社が仲介することが多くあります。

不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は、国土交通省の告示で決まっています。

2024年7月1日からは、代金が800万円以下の宅地や建物(低廉な空家等)について特例が設けられました。

区分 依頼者1人から受け取れる上限(税込み)
ふつうの売買(代金400万円超の部分) 代金×3.3%などの計算で出した額
800万円以下の空き家などの特例 仲介にかかる費用を考えて、33万円(30万円の1.1倍)まで

たとえば代金200万円の家は、ふつうの計算では上限が11万円ですが、特例では33万円まで受け取れることになりました。

安い空き家でも不動産会社が扱いやすくするための見直しです。

特例の額を受け取る場合は、媒介契約のときに報酬の額を説明し、合意しておくことが求められています。

いくらかかるかは、依頼する前に確認しましょう。

空き家バンクで貸す場合

空き家バンクには、売るだけでなく貸す物件として登録できる自治体も多くあります。

家を手放したくない場合や、すぐに買い手が見つからない地域では、貸すことも選択肢になります。

貸すときに気をつけること

項目 内容
修繕の負担 貸主には、住むのに必要な修繕をする義務がある(民法606条)。古い家は修繕費がかさむことがある
契約の期間 ふつうの賃貸借は、貸主から簡単に解約できない。期間を決めて終わらせたいなら定期借家契約を検討する
共有者の同意 共有している家をふつうの賃貸借で貸すには、共有者全員の同意が必要とされる。期間3年以内の定期借家なら、持分の過半数で決められる(民法252条4項)
仲介手数料 長い間使われていない空き家の貸借は、2024年7月から、仲介会社が受け取れる報酬の合計が家賃の2.2か月分まで(借主からは1.1か月分まで)に広がる特例がある
収入の申告 家賃収入は不動産所得として確定申告が必要になる

定期借家契約は、書面で契約し、期間が終われば更新されないことを、あらかじめ書面を渡して説明する必要があります(借地借家法38条)。

家を将来使う予定がある場合は、定期借家にしておくと取り戻しやすくなります。

空き家バンクが向いている家・向いていない家

空き家バンクが向いている家と向いていない家

向いている家 向いていない家
移住の需要がある地域の家 急いで現金にしたい家
すぐに住める、または少しの修理で使える家 雨漏り・傾きなど大きな修理が必要な家
売れるまで管理を続けられる家 遠方で管理が難しい家
価格が低く、ふつうの仲介では扱われにくい家 都市部で、ふつうの仲介でも買い手が見つかる家

都市部の家なら、空き家バンクを使わなくても、ふつうの不動産会社の仲介で売れることが多いでしょう。

反対に、地方の古い家は、仲介でも空き家バンクでも買い手が見つからないことがあります。

その場合は、古い家でも現状のまま買い取る業者に査定を頼む方法もあります。

ほかの手放し方と比べる

方法 特徴 注意点
空き家バンク 登録は無料。移住希望者などに届く 売れる時期が読めない
不動産会社の仲介 市場の価格で売れる可能性がある 古い家や安い家は扱われにくいことがある
買取業者 現状のまま、早く売れることが多い 価格は仲介より低くなりやすい
解体して土地を売る 更地のほうが売れやすい地域もある 解体費用がかかる。住宅用地の特例がなくなり固定資産税が上がることがある
相続土地国庫帰属制度 売れない土地を国に引き取ってもらう 建物がある土地は対象外。負担金と審査がある

空き家バンクと仲介・買取は、同時に進めることもできます。

ただし、不動産会社と専属専任媒介契約や専任媒介契約を結ぶと、ほかの会社に仲介を頼めなくなります。

空き家バンクの仲介をする会社と違う場合もあるので、契約の前に自治体と不動産会社の両方に確認しましょう。

訳あり物件の手放し方は相続した訳あり不動産の手放し方、国に引き取ってもらう方法は相続土地国庫帰属制度とはで解説しています。

相続放棄を考えている場合は、家を売ったり、売る話を進めたりする前に、放棄するかどうかを決めてください(民法921条1号)。

相続した不動産の売却・買取の相談先(比較)

実家の状態によっては、仲介より買取のほうが早く手放せることがあります。

相談先 向いているケース 注意点
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(一括査定)

住める状態の家・マンション・土地を仲介で売る 複数の不動産会社の訪問査定を一度に申し込める
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共有持分・借地権・再建築不可・事故物件・長く空いた空き家 仲介で売りにくい物件向け

住める状態の家は仲介の査定、傷みが大きい家や権利関係が複雑な家は買取の査定も取り、両方の金額を比べてから売り方を決めましょう。

空き家のまま置いておくリスク

売れるまでの間も、空き家の持ち主には管理の責任があります。

管理不全空家と固定資産税

2023年12月に施行された改正空家法で、「管理不全空家等」という区分ができました。

放っておくと特定空家等になるおそれがある空き家について、市区町村が指導し、改善されなければ勧告できます。

勧告を受けると、住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする特例(住宅用地特例)が使えなくなります。

特例がなくなると、土地の固定資産税が上がることがあります。

管理にかかる手間と費用

  • 庭木や雑草の手入れ
  • 換気・通水など建物の傷みを防ぐ作業
  • 台風や大雪のあとの見回り
  • 火災保険の見直し(空き家になると条件が変わることがある)

遠方に住んでいて通えない場合は、管理の手間も含めて、いつまでに手放すかを決めておきましょう。

売ったときの税金と空き家の特例

相続した家を売って利益が出ると、譲渡所得として所得税・住民税がかかります。

亡くなった親が一人で住んでいた家は、条件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」を使えます。

主な要件 内容
建てた時期 昭和56年5月31日以前に建てられた家
売る時期 相続から3年目の年の12月31日までに売る(2027年12月31日までの売却が対象)
売る金額 1億円以下
耐震・取り壊し 耐震リフォームか取り壊しが必要。2024年以降の売却は、買主が翌年2月15日までに行ってもよい
相続人の数 2024年以降、家を相続した人が3人以上なら、1人あたり2,000万円

空き家バンクで時間をかけているうちに、特例の期限を過ぎてしまうことがあります。

特例を使いたいなら、期限から逆算して売り方を決めましょう。

税金の計算は相続した不動産を売ったときの税金、売るか残すかの判断は相続した実家は売る?残す?で説明しています。

空き家の固定資産税が上がる仕組みは相続した家の固定資産税で説明しています。

800万円以下の物件の仲介手数料の特例は不動産売却の仲介手数料で詳しく説明しています。

売ったあとの責任の詳しい仕組みは契約不適合責任とはで説明しています。

建物の状態を調べる方法は建物状況調査とはで説明しています。

空き家を放置したときの指導・勧告の流れは相続した空き家が「管理不全空家」「特定空家」に?で説明しています。

よくある質問

空き家バンクに登録するのに費用はかかりますか?

自治体への登録は無料のことが多いです。

ただし、売買や賃貸の契約を不動産会社が仲介する場合は、仲介手数料がかかります。

実家のある自治体に空き家バンクがありません

すべての自治体に空き家バンクがあるわけではありません。

その場合は、地元の不動産会社に仲介を頼むか、買取業者に査定を頼む方法があります。

相続登記が済んでいなくても登録できますか?

自治体によりますが、名義が亡くなった方のままだと、売ることも貸すこともできません。

登録の前か、遅くとも契約の前には相続登記を済ませておきましょう。

家財が残ったままでも登録できますか?

登録できる自治体もありますが、家財があると内覧の印象が悪くなりやすいです。

片付けに補助金を出す自治体もあるので、窓口で確認しましょう。

相続放棄を考えている場合は、家財の処分が相続を認めたとみなされることがあるので、片付けの前に方針を決めてください。

まとめ

  • 空き家バンクは市区町村の制度で、条件や手続きは自治体ごとに違う
  • 全国版には1,134自治体が参加し、これまでに約24,700件が成約している
  • 登録の前に相続登記を済ませ、共有者全員の同意をとる
  • 800万円以下の空き家は、仲介手数料の上限が33万円(税込み)まで引き上げられた
  • 売れる時期が読めないので、仲介や買取の査定と比べ、空き家特例の期限から逆算して決める

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:国土交通省「全国版空き家・空き地バンクについて」(令和8年2月末時点)/宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(令和6年国土交通省告示第949号)/空家等対策の推進に関する特別措置法/租税特別措置法35条(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除)/不動産登記法76条の2(2026年9月30日確認)

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