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養子縁組と相続|養子の相続分・普通養子と特別養子・相続税の扱い

養子縁組と相続 相続人・戸籍
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養子縁組をすると、養子は養親の相続人になります。

「養子の相続分は実子と同じ?」「実の親の相続人にもなれる?」「相続税の節税になると聞いたけれど本当?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、民法と国税庁の案内をもとに説明します。

取り上げるのは、養子の相続権、普通養子と特別養子の違い、相続税での扱い(法定相続人の数に入る養子の数、2割加算)、注意点です。

先に結論
  • 養子は、実子と同じ第1順位の相続人で、相続分も実子と同じ
  • 普通養子は、実の親と養親の両方の相続人になる。特別養子は実の親の相続人にならない
  • 相続税の基礎控除で数える養子は、実子がいれば1人、いなければ2人まで
  • 孫を養子にした場合、その孫の相続税は2割加算される(代襲相続人の場合を除く)

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。

法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

養子は実子と同じ相続人

養子縁組をすると、養子は、縁組の日から養親の「嫡出子(ちゃくしゅつし)」の身分を取得します(民法809条)。

そのため、相続では実子とまったく同じ扱いになります。

  • 相続順位は、実子と同じ第1順位
  • 相続分も、実子と同じ
  • 遺留分も、実子と同じ

たとえば、妻と実子1人、養子1人がいる夫が亡くなった場合、法定相続分は、妻1/2、実子1/4、養子1/4です。

法定相続分の全体は法定相続人の範囲と順位で解説しています。

民法上は養子の人数に制限はない

民法上、養子にできる人数に制限はなく、養子は全員が相続人になります。

人数の制限があるのは、相続税の計算の「法定相続人の数」の数え方です(後の章で説明します)。

普通養子と特別養子の違い

普通養子と特別養子の違い

比べるところ 普通養子 特別養子
実の親との親子関係 続く 終わる
相続できる親 実の親と養親の両方 養親だけ
手続き 市区町村への届出(未成年者は原則として家庭裁判所の許可が必要) 家庭裁判所の審判
養子の年齢 養親より年下であればよい 原則として15歳未満
離縁 話し合いでできる 原則としてできない

相続対策や再婚相手の子との縁組で使われるのは、ほとんどが普通養子です。

普通養子は「二重の相続人」になる

普通養子は、実の親との親子関係もそのまま続きます。

そのため、実の親が亡くなったときも、養親が亡くなったときも、どちらでも子として相続人になります。

ケース別:養子縁組と相続

養子縁組と相続のケース別の扱い

再婚相手の連れ子

再婚相手の連れ子は、養子縁組をしない限り、自分の相続人になりません。

結婚しただけでは、連れ子との間に法律上の親子関係は生まれないからです。

連れ子に財産を残したい場合は、養子縁組をするか、遺言書で遺贈する必要があります。

孫を養子にする(孫養子)

祖父母が孫を養子にすると、孫は祖父母の子として相続人になります。

孫の親(祖父母の子)が生きていても、孫は子と同じ順位で相続人になります。

ただし、相続税の2割加算の対象になる点に注意が必要です(後の章で説明します)。

子の配偶者(長男の妻など)を養子にする

長男の妻は、義理の親の相続人ではありません。

長年介護をしてくれた長男の妻に財産を残したい場合は、養子縁組や遺言書を検討します。

なお、相続人以外の親族が無償で介護などをした場合は、相続人に「特別寄与料」を請求できる制度もあります。

養子縁組をしない場合の「特別寄与料」

2019年7月から、新しい制度が始まりました。

相続人ではない親族が、亡くなった方の介護や看病を無償で行い、財産の維持・増加に特別の貢献をした場合は、相続人に「特別寄与料」を請求できるようになりました。

  • 請求できるのは、相続人以外の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)
  • 話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に申し立てる
  • 期限は、相続の開始と相続人を知ったときから6か月以内、または相続の開始から1年以内

ただし、金額の話し合いは簡単ではありません。確実に財産を残したい場合は、養子縁組や遺言書のほうが確実です。

養子が先に亡くなった場合

養子が養親より先に亡くなった場合、養子の子が代襲相続するかどうかは、子が生まれた時期で変わります。

  • 養子縁組の後に生まれた子:代襲相続する
  • 養子縁組の前に生まれていた子:代襲相続しない

詳しくは代襲相続とはで解説しています。

相続税での養子の扱い

相続税の法定相続人の数に入る養子の数

「法定相続人の数」に入る養子の数

相続税では、「法定相続人の数」に入れられる養子の数に制限があります。

対象は、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の計算です。

亡くなった方の状況 数に入れられる養子
実子がいる 1人まで
実子がいない 2人まで

ただし、次の養子は、実子として数えます。

  • 特別養子
  • 配偶者の実子で、亡くなった方の養子になった人(連れ子養子)
  • 実子や養子が亡くなっていて、その代襲相続人として相続人になった人

これは相続税の計算上の数え方の話です。民法上は、養子は何人でも相続人になり、遺産を受け取れます。

孫養子は相続税が2割加算される

相続税には、配偶者・子・父母以外の人が財産を受け取った場合に、税額が2割増しになる「2割加算」があります。

孫を養子にした場合、孫は子の立場で相続人になりますが、2割加算の対象になります。

ただし、孫の親(亡くなった方の子)がすでに亡くなっていて、孫が代襲相続人になっている場合は、2割加算されません。

節税目的の養子縁組は無効?

相続税の節税が目的の養子縁組について、最高裁判所の判決(平成29年1月31日)があります。

判決は、節税の動機があるからといって、直ちに縁組の意思がないとはいえない、と判断しています。

ただし、相続税法には、養子の数を法定相続人に入れることで相続税の負担を不当に減らす結果になると認められる場合は、その養子を数に入れない、という規定もあります。

養子縁組は、家族関係や将来の遺産分割にも大きく影響します。税金だけで判断せず、家族でよく話し合いましょう。

相続から見た養子縁組のメリット・注意点

メリット 注意点
財産を残したい人を相続人にできる ほかの相続人の相続分・遺留分が減るため、反発を招くことがある
家業や実家を継ぐ人を、法律上の子にできる 養子も遺産分割協議に参加するため、話し合いの相手が増える
相続税の基礎控除や生命保険金の非課税枠が増える場合がある 孫養子は2割加算の対象。数に入れられる養子の数にも制限がある
- 養子自身の実の親の相続にも影響する(普通養子)

たとえば、祖父が孫を養子にすると、祖父の相続では、孫の親(祖父の子)の相続分が減ります。

兄弟姉妹の間で不公平感が生まれやすいので、縁組の理由を家族に説明しておくことが大切です。

判断能力が落ちた親の養子縁組

養子縁組には、養親と養子の双方に縁組をする意思が必要です。

認知症などで判断能力が十分でない親が縁組をすると、あとでほかの相続人から「縁組は無効だ」と争われることがあります。

縁組を考えるなら、親が元気なうちに、家族で話し合って進めましょう。

養子縁組の手続き

普通養子縁組の届出

  • STEP 1
    養子縁組届を用意する
    市区町村の窓口やホームページで入手する
  • STEP 2
    証人2人に署名してもらう
    成人であれば誰でもよい
  • STEP 3
    届け出る
    養親または養子の本籍地か住所地などの市区町村に出す

未成年者を養子にする場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要です(自分や配偶者の孫・連れ子などを養子にする場合は不要)。

また、結婚している人が未成年者を養子にする場合は、原則として夫婦一緒に養親になります。

養子縁組をやめる(離縁)

普通養子は、養親と養子の話し合いで離縁できます(協議離縁)。

養親が亡くなったあとに離縁する場合(死後離縁)は、家庭裁判所の許可が必要です。

ただし、死後離縁をしても、すでに受け継いだ遺産を返す必要はありません。

養子がいるときの相続手続き

養子がいる相続では、次の点に注意しましょう。

  • 戸籍で養子を確認する:亡くなった方の出生から死亡までの戸籍に、養子縁組の記載がある。家族が知らない養子が見つかることもある
  • 養子も遺産分割協議に参加する:養子を抜いた協議は無効になる
  • 相続税の申告では養子の戸籍も出す:亡くなった方に養子がいる場合は、養子の戸籍の謄本または抄本の提出も必要

相続税の申告書の添付書類は相続税申告書の書き方と添付書類で解説しています。

相続税がかかりそうな場合や、申告が必要か迷う場合は、税理士に相談すると具体的な税額を確かめられます。

よくある質問

養子と実子で、相続分に差をつけられますか?

法定相続分は同じですが、遺言書で相続分を変えることはできます。

ただし、遺留分(養子も実子と同じ)を侵害しないように注意が必要です。

養子になった人は、実の親の財産も相続できますか?

普通養子なら、実の親の相続人にもなります。

特別養子の場合は、実の親との親子関係が終わるため、実の親の相続人にはなりません。

養子縁組をしたら、養子の名字は変わりますか?

普通養子は、原則として養親の名字になります。

ただし、結婚して名字を変えた人が養子になる場合など、結婚のときの名字が続くこともあります。

養子縁組を解消したら、相続権はなくなりますか?

離縁すると、養親と養子の親子関係は終わり、その後に養親が亡くなっても、元養子は相続人になりません。

ただし、養親が亡くなったあとの死後離縁では、すでに発生した相続には影響しません。

養子の子は、養親の孫として扱われますか?

養子縁組のあとに生まれた養子の子は、養親の孫(直系卑属)になります。

縁組の前に生まれていた養子の子は、養親との間に親族関係が生まれないため、養親の孫にはなりません。

養子縁組をすると、実の親の扶養義務はどうなりますか?

普通養子は、実の親との親子関係が続くため、実の親との間の扶養の義務もそのまま残ります。

養親との間にも、新たに親子としての扶養の義務が生まれます。

養子縁組の届出に費用はかかりますか?

市区町村への養子縁組届の提出に、手数料はかかりません。

未成年者を養子にするときの家庭裁判所の許可の申立てには、収入印紙などの費用がかかります。

養子がいることを、ほかの家族が知らないことはありますか?

あります。

亡くなった方の戸籍を出生から死亡までたどると、家族が知らなかった養子縁組が見つかることがあります。

その養子も相続人なので、遺産分割協議に加える必要があります。

養子に相続させたくない場合はどうすればいいですか?

養子も実子と同じ相続人なので、遺言書で財産の分け方を決めておく方法があります。

ただし、養子にも遺留分があります。養子縁組そのものを解消したい場合は、離縁の手続きが必要です。

まとめ

  • 養子は実子と同じ第1順位の相続人で、相続分・遺留分も同じ
  • 普通養子は実の親と養親の両方の相続人。特別養子は養親だけ
  • 連れ子や子の配偶者は、養子縁組か遺言がないと相続人にならない
  • 相続税の法定相続人の数に入る養子は、実子がいれば1人、いなければ2人まで
  • 孫養子は2割加算の対象(代襲相続人を除く)。税金だけで縁組を決めない

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。

遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。

詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:民法727条・809条・811条・817条の2以下・887条/相続税法15条・18条・63条/国税庁 タックスアンサー「相続人の中に養子がいるとき」「相続税額の2割加算」/最高裁判所平成29年1月31日判決(2026年9月25日確認)

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