法定相続情報一覧図は、亡くなった方と相続人の関係を1枚にまとめた図です。
法務局に戸籍の束と一緒に出すと、登記官が内容を確かめて、認証文の付いた「写し」を無料で交付してくれます。
この写しがあれば、銀行や法務局に何度も戸籍の束を出し直す必要がなくなります。
この記事では、法務局の資料に沿って、一覧図の作り方・必要書類・申出の流れを説明します。
- 法定相続情報一覧図を作ると、何が楽になるのか
- 申出に必要な書類と、申出できる法務局
- 一覧図の書き方と、法務局が配っているExcel様式
- 一覧図が使えない・足りないケース
法定相続情報一覧図を作ると何が楽になるか

相続の手続きでは、銀行・証券会社・法務局などの提出先ごとに「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍一式」を求められます。
戸籍の束は、提出先で確認されたあと返してもらえますが、1か所ずつ順番に回すことになり、時間がかかります。
法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束の代わりに「一覧図の写し」を出せば済むようになります。
| 制度を使わない場合 | 制度を使う場合 | |
|---|---|---|
| 各提出先に出すもの | 戸籍の束(一式) | 一覧図の写し1枚(相続人が多いと複数枚) |
| 複数の手続き | 戸籍の束を返してもらってから次へ | 必要な通数の写しをもらい、同時に進められる |
| 費用 | - | 一覧図の写しの交付は無料 |
| 相続登記 | 戸籍の束を添付 | 申請書に法定相続情報番号を書けば、写しの添付も省略できる(2024年4月1日から) |
法務局も、相続手続きがいくつもある場合に勧めています。不動産がなく、遺産が預金だけの場合でも利用できます。
必要な書類

必ず用意する書類
| 書類 | 取得先 |
|---|---|
| 亡くなった方の、出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本 | 本籍地の市区町村役場(広域交付なら最寄りの役場でも可) |
| 亡くなった方の住民票の除票 | 最後の住所地の市区町村役場 |
| 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本(死亡日以後に証明されたもの) | 各相続人の本籍地の市区町村役場 |
| 申出人の氏名・住所を確認できる書類(運転免許証の表裏のコピー、マイナンバーカード表面のコピー、住民票の写しなど) | - |
運転免許証やマイナンバーカードのコピーには、原本と相違がない旨を書き、申出人が記名します。
兄弟姉妹が相続人になる場合などは、亡くなった方の親の戸籍なども追加で必要になることがあります。
場合によって必要になる書類
- 一覧図に相続人の住所を書く場合:各相続人の住民票の写し(印鑑証明書や戸籍の附票でも代用可)。相続人の住所を書くかどうかは任意です
- 代理人が申出する場合:委任状など。代理人になれるのは、親族のほか、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士に限られます
法定相続情報一覧図の書き方
一覧図には、次の情報を書きます。
| 対象 | 書く内容 |
|---|---|
| 亡くなった方 | 氏名、最後の住所、生年月日、死亡年月日(最後の本籍は任意) |
| 相続人 | 氏名、生年月日、続柄(住所は任意) |
| 作成者 | 作成日、作成者の住所・氏名(記名) |
作るときのルール
- A4の丈夫な白い紙に作る。手書きでも、はっきり読めればよい
- 家系図のような図の形のほか、亡くなった方と相続人を単に並べて書く形でもよい
- 続柄は「長男」「長女」「妻」「養子」のように、戸籍に書かれているとおりに書く
- 書くのは戸籍に載っている情報だけ。相続放棄や遺産分割協議の内容は一覧図には載らない
- 亡くなった方1人ごとに1枚作る(数次相続なら、亡くなった方ごとに別の一覧図)
入力するだけで作れる作成ツール
亡くなった方と相続人の情報を入力すると、列挙形式の一覧図をA4で印刷できます。
家系図の形にしたい場合は、下の法務局のExcel様式を使いましょう。
法定相続情報一覧図の作成ツール(列挙形式)
戸籍に書かれているとおりに入力してください。入力内容はこのページの中だけで使われ、送信・保存されません。
亡くなった方(被相続人)
相続人
作成日・作成者
テキスト(コピーして法務局のExcel様式などに貼り付けられます)
印刷時は、法務局が認証文を付けるため用紙の下に余白を多めに取っています。提出前に戸籍の記載と一字一句照らし合わせてください。
法務局のExcel様式を使う
法務局は、よくある家族構成ごとに一覧図の様式と記載例を配布しています(Excel・PDF)。
「配偶者と子が相続人」「子だけが相続人」「配偶者と親が相続人」「配偶者と兄弟姉妹が相続人」など、自分の家族構成に近いものを選び、名前と日付を書き換えるのが一番早い方法です。
申出の流れ

-
STEP 1書類を集める上の表の戸籍・住民票の除票などをそろえる
-
STEP 2一覧図を作る法務局の様式を使い、戸籍のとおりに書く
-
STEP 3申出書を書いて法務局に出す申出書に一覧図と戸籍などを添えて提出する。窓口に持参するほか、郵送でも出せる
-
STEP 4一覧図の写しを受け取る登記官が確認し、偽造防止措置のある専用紙に認証文を付けた写しが交付される。提出した戸籍の束は返してもらえる
申出できる法務局(4か所のどれか)
- 亡くなった方の本籍地を管轄する法務局
- 亡くなった方の最後の住所地を管轄する法務局
- 申出人の住所地を管轄する法務局
- 亡くなった方の名義の不動産の所在地を管轄する法務局
申出人自身の住所地の法務局でもよいので、実家が遠方でも、郵送か最寄りの法務局で手続きできます。
一覧図の写しについて知っておきたいこと

- 何通でも無料:相続手続きに必要な範囲で、複数通の交付を受けられます
- 5年間は再交付できる:一覧図は法務局で5年間保管され、その間は写しの再交付を受けられます。再交付を申し出られるのは当初の申出人だけで、ほかの相続人が希望する場合は申出人からの委任が必要です
- 使えるのは相続と年金等の手続きだけ:写しには、亡くなった方の死亡による相続手続きと年金等の手続き以外には使えない旨が印字されます
一覧図が使えない・足りないケース
| ケース | どうなるか |
|---|---|
| 亡くなった方や相続人が日本国籍を持たないなど、戸籍を添付できない | この制度は使えない |
| 相続放棄をした人がいる | 一覧図には放棄の事実が載らない。手続き先には家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書などを別に出す |
| 遺産分割協議で分け方を決めた | 一覧図とは別に、遺産分割協議書を出す |
| 提出先が一覧図の写しを受け付けていない | 必要書類は提出先ごとに違うため、事前に確認する |
遺産分割協議書の書き方と雛形は、遺産分割協議書の書き方|Word雛形4パターンで解説しています。
申出書の書き方のポイント
法務局に出す「法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書」は、法務局のホームページから様式をダウンロードできます。
書く欄は多くありませんが、次の点で迷いやすいので押さえておきましょう。
| 欄 | 書き方 |
|---|---|
| 被相続人の表示 | 氏名・最後の住所・生年月日・死亡年月日を、住民票の除票と戸籍のとおりに書く |
| 申出人の表示 | 相続人の中で、手続きを進める人の住所・氏名・連絡先・続柄 |
| 利用目的 | 「不動産登記」「預金の払戻し」など、使う予定の手続きにチェックする |
| 必要な写しの通数 | 提出先の数だけ書く。迷ったら少し多めにしておく |
| 交付の方法 | 窓口で受け取るか、郵送で受け取るかを選ぶ |
| 被相続人名義の不動産 | 不動産がある場合は、その所在地を書く(申出先の法務局を決めるときの基準にもなる) |
一覧図の形式は2種類
一覧図は、家系図のような「図の形式」でも、名前を並べた「列挙の形式」でも作れます。
| 形式 | 向いているケース |
|---|---|
| 図の形式 | 配偶者と子など、関係を線で示したほうがわかりやすいとき |
| 列挙の形式 | 相続人が多い、代襲相続があるなど、図にすると線が複雑になるとき |
どちらの形式でも、法務局の記載例に沿って作れば受け付けてもらえます。
迷ったら、家族構成に近い記載例をそのまま使うのが一番確実です。
一覧図の写しが使える手続き
一覧図の写しは、戸籍の束の代わりとして、次のような手続きで使われています。
- 不動産の相続登記(法務局)
- 預貯金の払戻し・名義変更(銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行など)
- 株式・投資信託の名義変更(証券会社)
- 相続税の申告(税務署)
- 未支給年金・遺族年金の請求(年金事務所)
- 相続放棄の申述(家庭裁判所。受け付けるかは裁判所に確認)
一覧図の写しだけでは足りず、別の書類を求められる場合もあるので、事前に確認しましょう。
よくあるミスと直し方
| ミス | 防ぎ方 |
|---|---|
| 戸籍が途中で途切れている | 「出生から死亡まで」連続しているか、戸籍の日付をつなげて確認する |
| 続柄を「子」と書いた | 戸籍のとおり「長男」「二女」などと書く |
| 相続放棄した人を書かなかった | 放棄した人も戸籍上の相続人なので一覧図には載る(放棄の事実は載らない) |
| 作成日・作成者を書き忘れた | 一覧図の下に、作成日と作成者の住所・氏名を必ず書く |
一覧図を作ったほうがいいケース・いらないケース
| 作ったほうがいい | 作らなくてもよい |
|---|---|
| 銀行や証券会社が複数ある | 手続きが1か所だけ |
| 相続登記と銀行の手続きを同時に進めたい | 相続登記だけで、相続関係説明図で戸籍を返してもらえば足りる |
| 戸籍が多く、束を何度も持ち歩きたくない | 相続人が少なく、戸籍も数通で済む |
| 年金の請求にも使いたい | - |
迷ったら、手続き先の数で判断するのが簡単です。
提出先が3か所以上あるなら、作っておくと手間が大きく減ります。
自分で作るか、専門家に頼むか
一覧図は、法務局の様式を使えば自分で作れます。
一方、申出を代理できるのは、親族のほか、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士に限られています。
戸籍集めに時間が取れない場合や、相続人が多くて戸籍が複雑な場合は、これらの専門家に依頼することもできます。
相続放棄の申述でも、戸籍の代わりに法定相続情報一覧図の写しを出せる場合があります。
詳しくは相続放棄申述書の書き方と必要書類で解説しています。
一覧図の写しを使える手続きと、手続きごとの必要書類は相続手続きの必要書類一覧表にまとめています。
戸籍の集め方と広域交付の条件は相続の戸籍謄本の集め方で詳しく説明しています。
相続税がかかりそうな場合や、申告が必要か迷う場合は、税理士に相談すると具体的な税額を確かめられます。
代理人が申出をするときの委任状は、相続の委任状の書き方(Wordひな形5パターン・無料)で配布しています。
相続した不動産を売る場合
相続登記が終わると、相続した家や土地を売ることができます。
売るかどうか迷っている段階でも、査定を取っておくと、遺産分割の話し合いで価格の目安になります(相続した不動産の価格の調べ方)。
相続放棄を考えている人は、売買契約の前に放棄するかどうかを決めてください(相続財産を処分すると、民法921条1号により単純承認とみなされることがあります)。
相続した不動産の売却・買取の相談先(比較)
特例の期限が迫っている場合や、ふつうの仲介では売りにくい不動産は、買取の査定もあわせて比べてみましょう。
| 相談先 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
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|
住める状態の家・マンション・土地を仲介で売る | 複数の不動産会社の訪問査定を一度に申し込める |
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家・マンション・土地を仲介で売る | 対応エリアは公式サイトで確認 |
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家・マンション・土地を売る(仲介のほか、買取・買取保証付き仲介も選べる) | 対応エリアは公式サイトで確認 |
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住める状態の家は仲介の査定、傷みが大きい家や権利関係が複雑な家は買取の査定も取り、両方の金額を比べてから売り方を決めましょう。
よくある質問
一覧図は自分で作れますか?
作れます。法務局の様式に沿って、戸籍のとおりに書き写せば足ります。
難しいのは一覧図そのものより、出生から死亡までの戸籍を漏れなく集める部分です。
転籍や結婚で本籍が何度も変わっている場合は、戸籍の広域交付を使うと1か所の役場でまとめて請求できます。
相続人の住所は書いたほうがいいですか?
書くかどうかは任意です。
法定相続情報一覧図と相続関係説明図は何が違いますか?
法定相続情報一覧図は、法務局が内容を確認して認証した写しを交付するもので、戸籍の束の代わりに使えます。
相続関係説明図は、相続登記の申請で戸籍の原本を返してもらうために添付する図で、認証はされません。
写しは何通までもらえますか?
相続手続きに必要な範囲であれば、複数通を無料でもらえます。
銀行が3つ、証券会社が1つ、相続登記が1件なら、5通程度を目安にするとよいでしょう。
後から写しを追加でもらえますか?
一覧図が保管されている5年間は、再交付を申し出られます。
再交付を申し出られるのは、最初に申し出た人だけです。
ほかの相続人が欲しい場合は、最初の申出人から委任を受けて手続きします。
一覧図に相続放棄した人は載りますか?
載ります。一覧図は戸籍に書かれている情報だけで作るため、相続放棄の事実は記載されません。
放棄した人がいる場合は、手続き先に相続放棄申述受理証明書などを別に出します。
まとめ
監修者
行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。
このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。
参考資料:法務省民事局「法定相続情報証明制度について」(令和6年4月1日改訂)/法務局「法定相続情報証明制度の手続の流れ」(令和8年3月1日改訂)/法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」

