家族や親族が亡くなったとき、仕事や学校を休むのが「忌引き(きびき)」です。
何日休めるのか、どの親族まで対象になるのか、給料は出るのかは、多くの人が迷うところです。
実は、会社員の忌引き休暇は法律で日数が決まっているものではなく、会社ごとの就業規則で決まります。
この記事では、会社員・国家公務員・学校の場合に分けて、忌引きのルールの調べ方と、休んでいる間にやることを整理します。
国家公務員の日数は、人事院規則の表をもとにそのまま紹介します。
会社への連絡メールの文例と、忌引き中のやることリストはWordで用意しました。
- 会社員の忌引き休暇は、労働基準法で日数が決められた休暇ではない。会社の就業規則で、日数・対象の親族・有給か無給かを確認する
- 国家公務員は人事院規則15-14で日数が決まっている(例:配偶者・父母7日、子5日、祖父母・兄弟姉妹3日)。葬儀で遠方に行く場合は往復の日数を加えられる
- 学校では、忌引きの日は欠席とは別に「出席停止・忌引等の日数」として扱われる(文部科学省の指導要録の記入事項)。日数は学校のきまりを確認
- 忌引きで足りない場合は、年次有給休暇を請求することもできる(労働基準法39条)
- 休んでいる間は、死亡届(7日以内)、葬儀の準備、親族への連絡などを進める
忌引きとは

忌引きは、親族が亡くなったときに、葬儀や喪に服すために仕事や学校を休むことです。
会社では「忌引き休暇」「慶弔休暇」「特別休暇」などの名前で定められていることがあります。
会社員の忌引き休暇は法律で決まっていない
労働基準法には、年次有給休暇のように、忌引き休暇の日数を定めた規定はありません。
そのため、忌引き休暇があるかどうか、何日休めるか、給料が出るかは、会社ごとのルールで決まります。
常時10人以上の労働者を使う会社は就業規則を作って届け出なければならず、休暇に関することは就業規則に書く事項とされています(労働基準法89条1号)。
まずは自分の会社の就業規則や、慶弔休暇の規程を確認しましょう。
忌引きと喪中の違い
忌引きは、葬儀などのために仕事や学校を休むことです。
喪中は、亡くなった人をしのび、一定の期間、お祝いごとなどを控える慣習のことです。
喪中の期間に法律の決まりはなく、年末には喪中はがきで年賀状を控えることを知らせるのが一般的です(喪中はがきの書き方と文例)。
会社員が確認すること

| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 対象になる親族 | 配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・配偶者の父母など、どこまでが対象か |
| 日数 | 親族ごとに何日か |
| 数え方 | 亡くなった日から数えるか、翌日からか。土日や休日を含めるか |
| 給料 | 有給の特別休暇か、無給か |
| 申請の方法 | 誰に、いつまでに、どの方法(電話・メール・申請書)で連絡するか |
| 証明書 | 会葬礼状や死亡を確認できる書類の提出が必要か |
| 遠方の場合 | 移動のための日数を加えられるか |
| 慶弔見舞金 | 弔慰金・香典の制度があるか |
就業規則が分からない場合は、人事担当や上司に確認してください。
パートやアルバイト、派遣の場合も、勤務先や派遣元のルールで扱いが決まります。
就業規則の読み方(例)
次は、慶弔休暇の規定を読むときの考え方を示すための例です。実際の規定は会社によって違います。
(例)第〇条(慶弔休暇) 従業員が次の各号に該当し、申請があったときは、慶弔休暇を与える。
一 配偶者、子または父母が死亡したとき 〇日
二 祖父母、配偶者の父母または兄弟姉妹が死亡したとき 〇日
2 前項の休暇は、死亡した日の翌日から起算し、休日を含むものとする。
3 慶弔休暇は有給とする。
この例なら、確認するのは次の4点です。
- 亡くなった人が、どの号に当てはまるか(祖父母・兄弟姉妹など)
- 何日目から数えるか(亡くなった日か、翌日か)
- 休日を含むかどうか(含む場合、土日をはさむと出勤日として休める日が減る)
- 有給か無給か
「申請があったとき」とあれば、申請の方法と期限も確認しておきましょう。
親族の範囲は「親等」で決められていることがある
就業規則では、忌引きの対象を「2親等以内の親族」のように親等で定めている場合があります。
民法は、親等は親族間の世代数を数えて定め、傍系の親族は共通の祖先までさかのぼって下る世代数で数えるとしています(民法726条)。
親族の範囲は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です(民法725条)。
| 親等 | 本人の血族 | 配偶者の血族(姻族) |
|---|---|---|
| 1親等 | 父母・子 | 配偶者の父母・子の配偶者 |
| 2親等 | 祖父母・兄弟姉妹・孫 | 配偶者の祖父母・配偶者の兄弟姉妹・兄弟姉妹の配偶者・孫の配偶者 |
| 3親等 | 曽祖父母・おじ・おば・おい・めい・ひ孫 | 配偶者のおじ・おば・おい・めい など |
配偶者は親族ですが、親等はありません。
就業規則に「〇親等以内」と書かれていたら、この表で当てはまるかを確認しましょう。
相続人の範囲とは別のものなので注意してください(法定相続人の範囲と順位)。
就業規則はどこで見られる?
会社は、就業規則を作業場の見やすい場所に掲示する、備え付ける、書面を交付するなどの方法で、労働者に周知しなければなりません(労働基準法106条1項)。
社内のポータルや掲示を確認し、分からなければ人事担当に見せてもらいましょう。
忌引きで足りないときは有給休暇も使える
忌引き休暇の日数で足りない場合や、忌引き休暇の対象外の親族の葬儀に出る場合は、年次有給休暇を使う方法があります。
年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えなければならないとされています(労働基準法39条5項)。
急ぎの場合は、事情を伝えて早めに相談しましょう。
遠方の葬儀に行く場合
実家が遠方にあると、移動だけで1日かかることもあります。
国家公務員は、葬儀のために遠隔の地に行く場合、往復に必要な日数を加えられると定められています(人事院規則15-14・22条)。
会社員の場合は、移動日の扱いが就業規則に書かれているかを確認し、足りなければ有給休暇と組み合わせて相談しましょう。
パート・アルバイト・派遣の場合
パートやアルバイトでも、勤務先の就業規則が適用される場合は、その定めに従って忌引き休暇を取れることがあります。
派遣で働いている場合は、雇用契約を結んでいる派遣元のルールを確認し、派遣先と派遣元の両方に連絡しましょう。
国家公務員の忌引きの日数
国家公務員(一般職)の忌引きは、人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)で特別休暇として定められています。
職員の親族が亡くなり、葬儀や服喪などのために勤務しないことが相当と認められるときは、次の表の日数(連続する日数)の範囲で休暇が認められます(22条・別表第二)。
| 亡くなった親族 | 日数 |
|---|---|
| 配偶者 | 7日 |
| 父母 | 7日 |
| 子 | 5日 |
| 祖父母 | 3日(代襲相続し、かつ祭具等の承継を受ける場合は7日) |
| 孫 | 1日 |
| 兄弟姉妹 | 3日 |
| おじ・おば | 1日(代襲相続し、かつ祭具等の承継を受ける場合は7日) |
| 父母の配偶者・配偶者の父母 | 3日(生計を一にしていた場合は7日) |
| 子の配偶者・配偶者の子 | 1日(生計を一にしていた場合は5日) |
| 祖父母の配偶者・配偶者の祖父母 | 1日(生計を一にしていた場合は3日) |
| 兄弟姉妹の配偶者・配偶者の兄弟姉妹 | 1日 |
| おじ・おばの配偶者 | 1日 |
葬儀のために遠隔の地に行く場合は、往復に必要な日数を加えた日数の範囲で認められます(22条)。
地方公務員は、それぞれの自治体の条例や規則で定められています。
民間の会社は、この表と同じとは限りません。
会社員の方は、参考にとどめて自社の就業規則を確認してください。
学校の忌引き
児童・生徒が忌引きで学校を休んだ日は、欠席とは別に扱われます。
文部科学省が示す指導要録の記入事項では、「出席停止・忌引等の日数」の欄に、出席停止の日数などとあわせて忌引日数を合算して記入することとされています。
この日数は、出席しなければならない日数には含まれません。
つまり、忌引きの日は欠席として数えられない扱いです。
何日まで忌引きとして認められるか、どの親族が対象かは、学校や教育委員会のきまりで決まります。
学校に連絡するときに、日数と必要な手続きを確認しましょう。
学校への連絡の例
〇年〇組の〇〇〇〇の保護者です。
本日、〇〇(続柄:祖父)が亡くなりました。
葬儀のため、〇月〇日から〇月〇日まで休ませていただきたく、ご連絡いたしました。
忌引きの手続きで必要な書類があれば、お知らせください。
大学や専門学校は、学則や学生便覧で扱いが決まっています。
試験や実習と重なる場合は、追試験などの手続きも確認しておきましょう。
会社・学校への連絡のしかた
家族が亡くなったら、できるだけ早く会社や学校に連絡します。
まず電話で伝え、そのあとメールなどで日程を伝えると、行き違いが起きにくくなります。
伝えること
- 誰が亡くなったか(続柄)
- 休む期間の予定(通夜・告別式の日程が決まっていれば、その日程)
- 休んでいる間の連絡先
- 仕事の引き継ぎが必要なこと
- 弔電や香典を辞退する場合は、その旨
会社へのメール文例
件名:忌引き休暇の取得について(〇〇〇〇)
〇〇課長
お疲れさまです。〇〇です。
先ほどお電話でお伝えしましたとおり、本日、父が亡くなりました。
つきましては、〇月〇日から〇月〇日まで、忌引き休暇をいただきたくお願い申し上げます。
通夜は〇月〇日、告別式は〇月〇日の予定です。
休暇中の業務は〇〇さんに引き継ぎをお願いしております。
急ぎのご連絡は、携帯電話(〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)までお願いいたします。
ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
家族葬で弔問や香典を辞退する場合は、その旨もメールに書いておくと、職場の人が迷わずに済みます。
忌引き中にやること

忌引き休暇は、葬儀に出るだけでなく、亡くなった直後の手続きを進める期間でもあります。
| やること | 期限・ポイント | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 死亡届・火葬許可の申請 | 死亡の事実を知った日から7日以内(戸籍法86条) | 死亡届の書き方と出し方 |
| 葬儀社との打ち合わせ | 形式・日程・見積もりを書面で確認 | 家族葬とは? |
| 喪主を決める | 家族で話し合って決める | 喪主の決め方とやること |
| 親族・知人への連絡 | 訃報を伝える範囲を決める | - |
| 年金・健康保険の手続き | 年金の受給停止、保険証の返却など | 年金受給者が亡くなったとき |
| 手続き全体の確認 | 期限の早い順に整理 | 死亡後の手続き一覧 |
葬儀社は急いで決めることになりがちです。
見積書は書面で受け取り、含まれるものと追加料金の条件を確認しましょう。
火葬だけで見送る場合は直葬(火葬式)とは?で流れを説明しています。
葬儀社の費用を前もって比べたいとき
葬儀費用は、選ぶプランと追加の費用で大きく変わります。
資料を取り寄せて総額の内訳を見ておくと、葬儀社を比べやすくなります。
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スケジュールの例(父が亡くなった場合)
次は流れを示すための一例です。実際の日程は、火葬場の空き状況や宗教・地域によって変わります。
| 日 | 主なこと |
|---|---|
| 1日目 | 亡くなる。会社・学校へ連絡。葬儀社に連絡し安置。親族へ連絡 |
| 2日目 | 葬儀社と打ち合わせ。死亡届・火葬許可の申請。通夜 |
| 3日目 | 告別式・火葬(亡くなってから24時間を経過した後・墓地、埋葬等に関する法律3条) |
| 4日目以降 | 葬儀費用の精算、役所・年金の手続き、親族との相談 |
| 忌引き明け | 職場へのお礼、必要書類の提出、香典返しの準備 |
同僚や取引先が忌引きのとき
同僚が忌引きで休むときは、業務の引き継ぎを受け、急ぎでない連絡は控えるのが配慮になります。
香典や弔電を送るかどうかは、会社のルールや、家族葬で辞退しているかどうかを確認してから決めましょう。
取引先の場合も、先方から辞退の連絡があれば、その意向に従います。
忌引き明けにやること
- 職場や学校にお礼を伝える(香典や弔電をいただいた場合はお礼)
- 会社で求められていれば、会葬礼状など死亡を確認できる書類を出す
- 慶弔見舞金の申請がある場合は手続きする
- 香典をいただいた場合は、四十九日のころに香典返しを準備する
香典返しは香典返しの相場・時期・挨拶状、法要は法事・法要の準備で説明しています。
忌引き連絡の文例とやることリスト(Word・無料)
会社や学校への連絡メールの文例と、忌引き中のやることリストをWordで用意しました。
無料ダウンロード
- 会社への連絡メール(親・祖父母・配偶者の親が亡くなった場合)
- 学校への連絡のメモ(子どもが休む場合)
- 就業規則で確認することのチェック欄
- 忌引き中・忌引き明けのやることリスト
よくある質問
忌引きの日数に土日は含まれますか?
会社のルールによります。
国家公務員の場合は「連続する日数」と定められています。
会社員は就業規則で、休日を含めるかどうかを確認してください。
忌引き休暇の間、給料は出ますか?
会社によって違います。
有給か無給かは就業規則で決まるので、確認しましょう。
亡くなってすぐに休めない場合は?
葬儀の日程に合わせて休む日を決められるかは、起算日の決まりも含めて会社のルールによります。
上司や人事担当に相談してください。
喪主になった場合、日数は増えますか?
喪主を務める場合の扱いは、会社のルールによります。
就業規則に喪主についての定めがあるか確認しましょう。
証明書は何を出せばいいですか?
会社や学校が求める書類は、それぞれのルールで決まっています。
会葬礼状や、死亡の事実が分かる書類などを求められることがあるので、何が必要かを先に確認しましょう。
四十九日や一周忌の法要で休めますか?
会社員の場合は、会社のルールによります。
忌引き休暇の対象外なら、有給休暇を使うことになります。
国家公務員は、父母の追悼のための特別な行事(父母の死亡後、人事院が定める年数内に行われるもの)のため、1日の範囲内で特別休暇が定められています(人事院規則15-14・22条)。
忌引きの途中で手続きのために役所へ行けますか?
忌引き休暇の使い方に決まりはなく、死亡届の提出や葬儀の準備などに使ってかまいません。
期限のある手続きは、忌引きの間に進めておくと、復帰後の負担が減ります。
まとめ
参考にした資料
- 労働基準法39条・89条・106条、民法725条・726条、戸籍法86条、墓地、埋葬等に関する法律3条
- 人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)22条・別表第二(e-Gov法令検索)
- 文部科学省「小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等」(出欠の記録)

