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自筆証書遺言書保管制度|預け方・手数料3,900円・様式・相続人の手続き

自筆証書遺言書保管制度 遺言
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自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)を、法務局に預けられるのが「自筆証書遺言書保管制度」です。

預けておけば、紛失や書き換えの心配がなく、亡くなったあとの家庭裁判所の検認も要りません。

この記事では、法務省の公式の案内をもとに説明します。

扱うのは、預けるまでの手続き(予約・持ち物・様式のルール)と手数料です。

亡くなったあとに相続人がする手続き、通知の仕組み、2026年の見直しも取り上げます。

先に結論
  • 預けるのは遺言者本人が法務局に出向いて行う(代理・郵送は不可)。予約が必須
  • 手数料は遺言書1通につき3,900円(収入印紙)。預けられるのは住所地・本籍地・所有不動産の所在地の法務局
  • 用紙はA4・片面、余白は上5mm・下10mm・左20mm・右5mm以上。余白に1文字でもはみ出すと預けられない
  • 亡くなったあと、相続人は遺言書情報証明書(1通1,400円)を取れば、検認なしで手続きに使える

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。

法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

自筆証書遺言書保管制度とは

自宅保管と法務局保管の違い

自筆証書遺言書保管制度は、2020年7月に始まった、法務局(遺言書保管所)が自筆証書遺言の原本と画像データを保管する制度です。

自宅で保管する場合と比べて、次のようなメリットがあります。

比べるところ 自宅で保管 法務局で保管
紛失・書き換え・隠される心配 ある ない(原本は法務局が保管)
形式のチェック ない 預けるときに、日付・署名・押印・様式などの外形を確認してもらえる
家庭裁判所の検認 必要 不要
相続人への知らせ ない 通知の制度がある
費用 かからない 3,900円

ただし、法務局は遺言の内容についての相談には応じません。

内容が有効かどうか、争いにならないかまでは確認してもらえない点に注意しましょう。

遺言書の書き方と文例は自筆証書遺言の書き方と文例で解説しています。

保管制度と公正証書遺言の比較

比べるところ 自筆証書遺言(法務局保管) 公正証書遺言
作る人 本人が全文を手書き(財産目録を除く) 公証人が作成。本人は署名
費用 3,900円 財産の額に応じた公証人手数料
証人 不要 2人必要
内容の相談 法務局ではできない 公証人に相談できる
出張 なし(本人が法務局へ行く) 病院・自宅などへの出張がある
検認 不要 不要

費用を抑えたい人、財産の内容が比較的シンプルな人には保管制度が向いています。

内容が複雑な人、相続人の間で争いが起きそうな人、法務局に出向けない人は、公正証書遺言も検討しましょう。

遺言書を預ける手続き(6つのステップ)

遺言書を法務局に預ける手続きの流れ

  • STEP 1
    遺言書を書く
    民法の要件と、保管制度の様式のルールを守って書く
  • STEP 2
    預ける法務局を決める
    住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所
  • STEP 3
    保管申請書を作る
    法務省のホームページからダウンロードするか、法務局の窓口で入手する
  • STEP 4
    予約をする
    手続きには予約が必須
  • STEP 5
    本人が法務局に行って申請する
    遺言書・申請書・添付書類・本人確認書類・手数料を持参する
  • STEP 6
    保管証を受け取る
    遺言者の氏名・生年月日・保管所の名称・保管番号が書かれている

預けられるのは本人だけ

保管の申請ができるのは、遺言者本人だけです。

代理人による申請や、郵送での申請はできません。

体が不自由で法務局に行けない場合は、公正証書遺言(公証人の出張がある)を検討しましょう。

公正証書遺言については公正証書遺言の必要書類と費用で解説しています。

2通目以降は同じ法務局へ

2通目以降の遺言書を追加で預ける場合は、最初に預けた遺言書保管所にしか申請できません。

当日の持ち物

持ち物 ポイント
遺言書 ホチキス止めせず、バラバラのまま。封筒も不要
保管申請書 事前に記入しておく。未記入だと予約時間内に終わらないことがある
住民票の写し等 本籍と筆頭者の記載があり、マイナンバーや住民票コードの記載がないもの(原本)
顔写真付きの身分証明書 運転免許証、マイナンバーカードなど(有効期限内)
手数料3,900円 収入印紙で納める

遺言書を外国語で書いた場合は、日本語の翻訳文も必要です。

保管証はなくさない

保管証は再発行できません。

保管番号は、預けた遺言書を特定する大切な番号です。家族に保管の事実を伝えるときにも役立つので、大切に保管しましょう。

保管申請書を書くときのポイント

  • 遺言者の情報:氏名・生年月日・住所・本籍・筆頭者を、住民票の写しのとおりに書く
  • 受遺者等・遺言執行者等:遺言書で財産を渡す相手(相続人以外に遺贈する場合など)や遺言執行者を書く
  • 指定者通知:希望する場合は、通知を受ける人(3名まで)を指定し、同意事項に同意する

法務省のホームページには、申請書の記載例と「遺言書保管申請ガイドブック」があります。

事前に目を通しておくと、当日の手続きがスムーズです。

予約の取り方

保管の申請は予約制です。

法務局の手続案内予約のサービス(インターネット)や、遺言書保管所への電話で予約します。

予約した日時に、遺言者本人が行きます。付き添いの家族が同行することはできますが、申請は本人が行います。

預けるための様式のルール

保管制度の遺言書の余白のルール

法務局に預ける遺言書は、民法の要件に加えて、次の様式を守る必要があります。

項目 ルール
用紙 A4サイズ。文字が読みづらくなる模様や彩色がないもの(一般的な罫線は可)
余白 上5mm・下10mm・左20mm・右5mm以上。余白に1文字でもはみ出すと書き直し
記載面 片面のみ(財産目録も同じ)
ページ番号 2枚以上なら各ページに「1/2」のように総ページ数がわかる形で、余白内に書く(1枚なら不要)
とじ方 ホチキスなどでとじない
筆記具 ボールペンや万年筆など、消えにくいもの
氏名 ペンネームではなく戸籍どおりの氏名

民法の要件も守る

  • 全文・日付・氏名を自書し、押印する(財産目録はパソコンや通帳のコピーでもよいが、全ページに署名・押印)
  • 日付は特定できるように書く(「令和〇年〇月吉日」は不可)
  • 書き間違いの訂正は、場所を示して訂正した旨を付記し、署名し、訂正箇所に押印する

訂正の方法が難しい場合は、書き直すほうが確実です。

手数料一覧(法務省の案内より)

自筆証書遺言書保管制度の手数料

手続き 手数料 できる人
遺言書の保管の申請 1件(遺言書1通)3,900円 遺言者
遺言書の閲覧(モニター) 1回1,400円 遺言者/関係相続人等
遺言書の閲覧(原本) 1回1,700円 遺言者/関係相続人等
遺言書情報証明書の交付 1通1,400円 関係相続人等
遺言書保管事実証明書の交付 1通800円 関係相続人等
申請書等・撤回書等の閲覧 1件1,700円 遺言者/関係相続人等

保管の申請の撤回や、住所などの変更の届出には、手数料はかかりません。

手数料はすべて収入印紙で納めます。

預けたあとにできること

  • 閲覧:遺言者本人は、預けた遺言書をモニターや原本で見られる
  • 撤回:保管の申請を撤回すれば、遺言書を返してもらえる(撤回しない限り返却されない)
  • 変更の届出:住所・氏名などが変わったら届け出る

内容を変えたい場合は、新しい遺言書を書いて預け直すのが一般的です。

古い遺言書と内容が矛盾する部分は、新しい遺言書が優先されます。

亡くなったあとに相続人がする手続き

相続人・受遺者・遺言執行者など(関係相続人等)は、遺言者が亡くなったあとに、次の手続きができます。

手続き わかること・使い道 手数料
遺言書保管事実証明書の交付 遺言書が預けられているかどうか 1通800円
遺言書情報証明書の交付 遺言書の内容(画像)。原本の代わりに相続手続きで使える 1通1,400円
遺言書の閲覧 遺言書をモニターや原本で見る 1,400円/1,700円

遺言書情報証明書で手続きを進める

法務局に預けた遺言書は、相続人であっても原本を返してもらえません。

そのため、遺言書情報証明書を、遺言書の原本の代わりとして、相続登記や銀行の手続きに使います。

家庭裁判所の検認は不要なので、自宅で保管していた場合より早く手続きを始められます。

検認の手続きは遺言書の検認とはで解説しています。

請求の方法

  • 全国どこの遺言書保管所でも請求できる
  • 郵送でも来庁でも請求できる(法務省は郵送をすすめている)。来庁する場合は予約が必須
  • 主な添付書類:遺言者が亡くなったことがわかる戸籍、請求者の住民票の写し、相続人であることがわかる戸籍など
  • 遺言書情報証明書の請求では、法定相続情報一覧図の写し(住所の記載があるもの)を使うと審査が早くなる

法定相続情報一覧図の作り方は法定相続情報一覧図の作り方で解説しています。

銀行や法務局での使い方

遺言書情報証明書は、遺言書の原本の代わりに、次のような手続きで使います。

  • 相続登記:遺言で不動産を受け継ぐ人が、法務局に登記を申請するときに添付する
  • 預貯金の払い戻し:銀行の相続手続きで、遺言書の代わりに出す
  • 証券会社の名義変更:株式などを受け継ぐときに出す

複数の手続きで使う場合は、必要な通数を一度に請求しておくと効率的です。

相続登記の手順は相続登記の必要書類と自分でやる手順で解説しています。

通知の仕組み(相続人に知らせる制度)

遺言書を預けていることを家族に伝えていなくても、次の2つの通知で、相続人等に知らせる仕組みがあります。

通知 内容
関係遺言書保管通知 遺言者の死亡後、関係相続人等の誰かが閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けると、ほかのすべての関係相続人等に、遺言書が保管されていることが通知される
指定者通知 遺言者が希望した場合、戸籍の担当部局と連携して遺言者の死亡を確認したときに、遺言者があらかじめ指定した人(3名まで)に通知される

指定者通知は、2023年10月から、指定できる人が推定相続人などに限られなくなり、人数も3名まで指定できるようになりました。

確実に知らせたい人がいる場合は、保管の申請のときに指定しておきましょう。

最近の見直し

2026年3月の省令改正

2026年3月2日に、遺言書の保管に関する省令が改正され、制度が使いやすくなりました。

  • 遺言書が1枚の場合は、ページ番号の記載が不要に
  • 申請書・届出書・請求書の様式から記名欄を削除(これまでの様式も使える)
  • 証明書などでDV被害者等の住所・本籍を表示しない措置を申し出られる制度を新設
  • 請求書への遺言者の死亡日の記載や、死亡を証明する書類の添付を省略できる範囲を拡大

オンライン手続きの試行

2026年2月から、保管申請の書類を電子メールで事前にチェックしてもらえる取組みが、39都道府県・68の遺言書保管所に広がっています(試行)。

当日の書き直しを防げるので、対象の保管所なら利用を検討しましょう。

2026年6月の民法改正

2026年6月に成立した民法改正で、遺言制度も見直されます。

  • 押印の任意化:公布(2026年6月24日)から1年以内の政令で定める日に施行
  • 保管証書遺言の創設:パソコンなどで作った遺言のデータや印刷物を法務局に出し、本人が対面かウェブ会議で全文を口述するなどして法務局が保管する新しい方式。公布から3年以内に施行

施行されるまでは今のルールのままです。今預ける遺言書は、押印も必要です。

モデルケース:遺言書を預けてから相続手続きまで

たとえば、父が自筆の遺言書を法務局に預け、長男を指定者通知の相手に指定していた場合で考えます。

  • STEP 1
    父が法務局に預ける
    予約して本人が出向き、手数料3,900円を納めて保管証を受け取る
  • STEP 2
    父が亡くなる
    法務局が戸籍の情報で死亡を確認し、長男に「遺言書が保管されている」旨の通知が届く
  • STEP 3
    長男が遺言書情報証明書を取る
    郵送で請求し、1通1,400円で証明書を受け取る
  • STEP 4
    ほかの相続人にも通知が届く
    長男が証明書を受け取ったことで、関係遺言書保管通知がほかの相続人にも届く
  • STEP 5
    相続手続きを進める
    検認なしで、証明書を使って相続登記や銀行の手続きをする

自宅で保管していた場合と比べると、家庭裁判所の検認(1〜2か月かかることもある)を省けるのが大きな違いです。

遺言執行者の指定については遺言執行者とはで説明しています。

相続税がかかりそうな場合や、申告が必要か迷う場合は、税理士に相談すると具体的な税額を確かめられます。

保管制度で預ける遺言書の財産目録は、財産目録の書き方とひな形(Excel・Word・無料)を参考にしてください。

よくある質問

法務局で遺言の内容を相談できますか?

できません。

法務局が確認するのは、日付・署名・押印や様式などの外形だけです。内容の相談は、弁護士などの専門家にしましょう。

夫婦で一緒に預けられますか?

1枚の紙に夫婦2人で書いた遺言書(共同遺言)は、民法で禁止されていて無効です。

夫婦それぞれが1通ずつ書き、それぞれが本人として申請します。

子どものいない夫婦の遺言の考え方は子どものいない夫婦の相続で解説しています。

預けた遺言書を書き直したいときは?

新しい遺言書を書いて預けるか、保管の申請を撤回して古い遺言書を返してもらいます。

新しい遺言書を預ける場合も、最初に預けた保管所に申請します。

遺言書が預けられているか、家族はどうやって調べますか?

遺言者が亡くなったあと、全国どこの遺言書保管所でも「遺言書保管事実証明書」を請求すれば、預けられているかどうかがわかります。

手数料は1通800円で、郵送でも請求できます。

保管制度を使ったほうがいいのはどんな人ですか?

自筆で遺言書を書く人は、基本的に保管制度の利用がおすすめです。

特に、遺言書を家族に隠されたり書き換えられたりする心配がある人、相続人が遠方に住んでいて検認の負担をかけたくない人に向いています。

預けた遺言書は、法務局にいつまで保管されますか?

遺言書の原本は、遺言者の死亡の日から50年間、画像データは150年間保管されます(死亡の日が明らかでない場合は、出生の日から一定期間)。

保管制度を使うと、遺言書は必ず有効になりますか?

いいえ。

法務局が確認するのは外形だけなので、内容があいまいだったり、遺言者に判断能力がなかったりすると、あとで無効を争われることがあります。

財産の特定のしかたなど、内容は文例を参考に慎重に書きましょう。

認知症の診断を受けていても預けられますか?

遺言をするには、遺言の内容を理解できる能力(遺言能力)が必要です。

法務局は遺言能力を判断しないため、預けることができても、あとで遺言能力を争われるおそれがあります。

心配な場合は、医師の診断書を残しておくなどの対策を検討しましょう。

財産目録はパソコンで作ってもいいですか?

財産目録は、パソコンで作ったり、登記事項証明書や通帳のコピーを付けたりしてもかまいません。

ただし、目録の全ページに署名と押印が必要です。保管制度の様式(A4・片面・余白)も守りましょう。

保管の申請にどれくらい時間がかかりますか?

書類がそろっていれば、予約した時間内に手続きが終わるのが一般的です。

申請書を事前に記入しておかないと、時間内に終わらず、出直しになることがあります。

遺言書保管所はどこにありますか?

遺言書保管所は、全国の法務局・地方法務局の本局と、一部の支局・出張所に置かれています。

預けられるのは、住所地・本籍地・所有する不動産の所在地を管轄する保管所なので、法務省の「管轄/遺言書保管所一覧」で確認しましょう。

まとめ

  • 自筆証書遺言を法務局に預けると、紛失・書き換えの心配がなく、検認も不要になる
  • 預けるのは本人のみ・予約必須。手数料は1通3,900円
  • A4・片面・余白(上5・下10・左20・右5mm)などの様式のルールを守る
  • 亡くなったあとは遺言書情報証明書(1,400円)で相続手続きを進める。保管の有無は保管事実証明書(800円)で確認
  • 指定者通知で3名まで知らせる人を指定できる。2026年の民法改正で押印の任意化・保管証書遺言も予定

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。

遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。

詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:法務省「自筆証書遺言書保管制度」(02遺言者の手続・03遺言書の様式等・04相続人等の手続・09手数料・10通知)/「法務局における遺言書の保管等に関する省令の一部を改正する省令」(令和8年法務省令第8号)の概要/法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」(2026年9月25日確認)

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