相続関係説明図は、亡くなった方と相続人の関係を家系図のように表した図です。
相続登記の申請書に添えて出すと、一緒に提出した戸籍の原本を、法務局の調査が終わったあとに返してもらえます。
この記事では、法務局の手引きにある記載例に沿って書き方を説明し、そのまま使えるExcelの雛形(3パターン)を配布します。
- 相続関係説明図を出すと何が変わるのか
- 書く項目と、「(相続)」「(分割)」「(放棄)」の書き分け
- 法定相続情報一覧図との違いと、どちらを作ればよいか
相続関係説明図のExcel雛形(3パターン・無料)
1つのExcelファイルに、家族構成ごとのシートを3つ入れています。
自分の家族に近いシートを選び、〇〇の部分を戸籍のとおりに書き換えてください。
| シート | 相続人 |
|---|---|
| 配偶者と子2人 | 妻(夫)と子どもたち。いちばん多い形です |
| 子3人 | 配偶者がすでに亡くなっていて、子だけが相続人 |
| 配偶者と父母 | 子がいない夫婦で、亡くなった方の親が健在 |
子の人数が違うときは、相続人の欄(住所・出生・続柄・氏名の4行)をコピーして増やし、縦線を延ばします。
相続関係説明図を出すと何が変わるか

相続登記では、相続人が誰かを示すために、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍などを添付します。
何もしなければ、添付した戸籍は法務局に残ります。
法務局の手引きでは、相続関係説明図を提出すれば、添付した戸籍の証明書は調査が終わったあとに返してもらえ、その場合は戸籍のコピーを作って出す必要もないと案内されています。
| 相続関係説明図を出さない | 相続関係説明図を出す | |
|---|---|---|
| 戸籍の原本 | 返してもらうには、全ページのコピーに「原本に相違ありません」と書いて記名押印して出す | 調査が終わったあと返してもらえる。コピーは不要 |
| その後の手続き | 戸籍を取り直す必要が出ることがある | 返ってきた戸籍を銀行などの手続きに使える |
戸籍を何通も取り直すと手数料がかさむため、相続登記をするなら相続関係説明図を付けておくのが一般的です。
相続関係説明図の書き方

書く項目
| 対象 | 書く内容(法務局の記載例) |
|---|---|
| 表題 | 「被相続人 〇〇〇〇 相続関係説明図」 |
| 亡くなった方 | 住所(最後の住所)、死亡日、「(被相続人)」、氏名 |
| 不動産を相続する人 | 住所、出生日、「(相続人)」、氏名 |
| そのほかの相続人 | 氏名と、下に「(分割)」など |
雛形では、書き漏れを防ぐために全員に住所・出生日・続柄の欄を設けています。
続柄(長男・長女・妻など)は戸籍に書かれているとおりに書きます。
線の引き方
- 夫婦は二重線でつなぐ
- 親子は一本線でつなぐ。夫婦の二重線の途中から線を出し、子どもたちへ枝分かれさせる
- 子の並び順は、戸籍の記載順(生まれた順)にそろえると確認しやすい
「(相続)」「(分割)」「(放棄)」の書き分け
| 書き方 | 意味 |
|---|---|
| (相続)または(相続人) | 登記する不動産を相続する人 |
| (分割) | 遺産分割協議の結果、登記する不動産を相続しなかった人 |
| (放棄) | 家庭裁判所で相続放棄をした人 |
法務局の記載例では、遺産分割で不動産を相続しなかった妻と長女の下に「(分割)」と書かれています。
遺産分割の内容は遺産分割協議書に書き、相続関係説明図と一緒に提出します。
法定相続情報一覧図との違い

| 相続関係説明図 | 法定相続情報一覧図 | |
|---|---|---|
| 何に使うか | 相続登記の申請で戸籍の原本を返してもらう | 銀行・法務局などで戸籍の束の代わりに出す |
| 法務局の認証 | なし | あり(認証文付きの写しが無料で交付される) |
| 遺産分割の結果 | (分割)などと書き込める | 書かない(戸籍に載っている情報だけ) |
| 別の手続きに使えるか | 使えない | 相続手続きと年金等の手続きに使える |
相続登記だけでなく、銀行や証券会社の手続きもあるなら、先に法定相続情報一覧図の写しを取っておくと便利です。
2024年4月1日からは、相続登記の申請書に法定相続情報番号を書けば、一覧図の写しの添付も省略できます。
書く前にそろえる書類
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
- 相続人全員の現在の戸籍
- 亡くなった方の住民票の除票(最後の住所を書くため)
- 不動産を相続する人の住民票(住所を書くため)
戸籍は、2024年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できます(広域交付)。
誰が相続人になるかは法定相続人の範囲と順位で確認できます。
家族構成別の書き方
家族構成によって、図の形や書く人が変わります。
雛形にないケースも、次のポイントを押さえれば作れます。
子が先に亡くなっていて、孫がいる(代襲相続)
先に亡くなった子も図に書き、その下に孫を線でつなぎます。
亡くなった子の名前の下には「(死亡)」と死亡日を書き、孫の下に「(相続)」や「(分割)」と書きます。
孫が代わりに相続人になることが、図を見ただけでわかるようにするためです。
子がいなくて、兄弟姉妹が相続人
亡くなった方の父母を図の上に書き、父母の死亡日も記載します。
そこから兄弟姉妹へ線を伸ばし、亡くなった方と兄弟姉妹が同じ親から生まれたことを示します。
異母・異父の兄弟姉妹がいる場合は、どちらの親から伸びる線なのかがわかるように書き分けます。
前の結婚の子がいる
前の配偶者を図に書き、前の配偶者との間の線から子を伸ばします。
前の配偶者は相続人ではないので、名前だけを書き、「(相続)」などは付けません。
前の結婚の子も相続人なので、今の配偶者との子と同じように書きます。
相続放棄をした人がいる
放棄した人も図に書き、名前の下に「(放棄)」と書きます。
相続登記の申請には、家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書などを添付します。
作る前のチェックリスト

- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍がそろっている
- 相続人全員の現在の戸籍がそろっている
- 亡くなった方の最後の住所が、住民票の除票(または戸籍の附票)で確認できる
- 不動産を相続する人の住所が、住民票で確認できる
- 続柄(長男・二女など)を戸籍のとおりに書いた
- 遺産分割協議書の内容と、(相続)(分割)の書き分けが一致している
このチェックが終わってから法務局に出すと、補正(書き直し)を求められる可能性が下がります。
相続登記の必要書類と相続関係説明図の位置づけ
相続関係説明図は、相続登記で出す書類の1つです。
法務局の「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」によると、遺産分割協議で不動産を取得した場合の主な書類は次のとおりです。
| 誰の | 書類 | 入手先 |
|---|---|---|
| 亡くなった方 | 出生から死亡までのすべての戸籍・除籍・改製原戸籍 | 本籍地の市区町村(広域交付も可) |
| 亡くなった方 | 住民票の除票または戸籍の附票(登記簿上の住所と本籍の記載があるもの) | 市区町村 |
| 相続人全員 | 戸籍謄本(死亡日以降に発行されたもの) | 本籍地の市区町村 |
| 相続人全員 | 印鑑証明書(遺産分割協議書に押した印のもの) | 住所地の市区町村 |
| 新しく所有者になる人 | 住民票 | 住所地の市区町村 |
| - | 固定資産課税明細書(申請する年度のもの) | 毎年4月ごろ市区町村から届く |
| 自分で作る | 登記申請書・遺産分割協議書・相続関係説明図 | - |
法務局の案内では、相続関係説明図は「戸籍・除籍謄本の原本の還付を希望しない場合は不要」とされています。
つまり、相続関係説明図は必須ではありませんが、戸籍を返してもらいたいなら付けておくべき書類です。
原本を返してもらう書類・返らない書類
| 書類 | 返してもらう方法 |
|---|---|
| 戸籍・除籍謄本 | 相続関係説明図を付ければ、コピーなしで返してもらえる |
| 遺産分割協議書・印鑑証明書など | コピーに「原本に相違ありません」と書いて記名押印し、原本と一緒に出す |
| 登記申請のためだけに作った書類(委任状など) | 返してもらえない |
遺産分割協議書と印鑑証明書は、銀行の手続きでも使うことが多いので、原本を返してもらえるよう準備しておきましょう。
説明図の元になる戸籍の集め方は相続の戸籍謄本の集め方で説明しています。
相続税がかかりそうな場合や、申告が必要か迷う場合は、税理士に相談すると具体的な税額を確かめられます。
相続人申告登記で戸籍の原本を返してもらうときにも、相続関係説明図を使います(相続人申告登記のやり方(必要書類・申出書の書き方))。
登記のあとで不動産を売る場合
相続登記が終わると、相続した家や土地を売ることができます。
売るかどうか迷っている段階でも、査定を取っておくと、遺産分割の話し合いで価格の目安になります(相続した不動産の価格の調べ方)。
相続放棄を考えている人は、売買契約の前に放棄するかどうかを決めてください(相続財産を処分すると、民法921条1号により単純承認とみなされることがあります)。
相続した不動産の売却・買取の相談先(比較)
特例の期限が迫っている場合や、ふつうの仲介では売りにくい不動産は、買取の査定もあわせて比べてみましょう。
| 相談先 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
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|
住める状態の家・マンション・土地を仲介で売る | 複数の不動産会社の訪問査定を一度に申し込める |
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家・マンション・土地を仲介で売る | 対応エリアは公式サイトで確認 |
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家・マンション・土地を売る(仲介のほか、買取・買取保証付き仲介も選べる) | 対応エリアは公式サイトで確認 |
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住める状態の家は仲介の査定、傷みが大きい家や権利関係が複雑な家は買取の査定も取り、両方の金額を比べてから売り方を決めましょう。
よくある質問
手書きでも作れますか?
作れます。決まった様式はなく、法務局の手引きもA4縦置きのイメージを示しているだけです。
読みやすく、戸籍と内容が一致していれば足ります。
相続関係説明図に押印は必要ですか?
法務局の記載例には押印欄はありません。作成日と作成者の氏名を書いておくと、誰が作ったかがわかります。
相続登記の申請書の書き方も知りたい
登記の申請書そのものは、法務局が様式と記載例を公開しており、法務局の手続案内(予約制)で相談できます。
登記申請の代理は司法書士の業務です。
相続関係説明図はパソコンで作ってもいいですか?
パソコンで作ってかまいません。
この記事の雛形はExcelで作っているので、名前や日付を書き換えて印刷するだけで使えます。
銀行の手続きにも使えますか?
相続関係説明図は、法務局の認証がないため、銀行では戸籍の束の代わりにならないのが一般的です。
銀行の手続きには、法定相続情報一覧図の写しを使うと便利です。
相続関係説明図と法定相続情報一覧図、両方作る必要がありますか?
両方作る必要はありません。
法定相続情報一覧図の写しがあれば、相続登記の申請書に法定相続情報番号を書くことで、戸籍の添付を省略できます。
相続登記だけなら相続関係説明図、銀行の手続きもあるなら法定相続情報一覧図、と使い分けるとよいでしょう。
まとめ
監修者
行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。
このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。
参考資料:法務局「相続登記申請手続のご案内(遺産分割協議編)」(令和8年4月)

