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遺言執行者とは?役割・なれる人・選任の申立て・仕事の流れと報酬

遺言執行者とは 遺言
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遺言書に「遺言執行者として〇〇を指定する」と書かれていた場合、その人は何をすればよいのでしょうか。

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために、預金の解約や不動産の名義変更などの手続きを進める人です。

2019年7月の民法改正で、遺言執行者の権限や立場がはっきりしました。

この記事では、民法と裁判所の案内をもとに、遺言執行者の役割、なれる人、選び方、仕事の流れ、報酬、辞任や解任について説明します。

先に結論
  • 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために相続財産の管理や手続きをする人(民法1012条)
  • 遺言で指定されるほか、指定がなければ家庭裁判所に選任を申し立てることができる(申立ては遺言書1通につき収入印紙800円)
  • 未成年者と破産者以外なら、相続人でもなれる(民法1009条)
  • 就任したら、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知し、財産目録を作って交付する(民法1007条・1011条)
  • 遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の執行を妨げる行為をしてはならない(民法1013条)

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

遺言執行者とは

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務を持つ人です(民法1012条)。

遺言執行者がその権限の範囲で、遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接効力が生じます(民法1015条)。

相続人が何人もいる場合でも、遺言執行者が一人で手続きを進められるため、手続きがスムーズになります。

遺言執行者がいなくてもよい場合・必要な場合

ケース 遺言執行者
遺言で子を認知する 必要(遺言執行者が届出をする)
遺言で推定相続人を廃除する、または廃除を取り消す 必要(遺言執行者が家庭裁判所に請求する)
預金や不動産を相続人に渡す いなくても相続人が手続きできる。いれば手続きが進めやすい
相続人以外の人に財産を遺贈する いなくても手続きはできるが、相続人全員の協力が必要になるため、いると進めやすい

認知や廃除のように、遺言執行者でなければできない手続きもあります。

遺言執行者になれる人

遺言執行者になれる人となれない人

未成年者と破産者は、遺言執行者になれません(民法1009条)。

それ以外の人なら、相続人や、遺言で財産をもらう人(受遺者)もなれます。

なる人 特徴
相続人の一人 費用を抑えられる。ほかの相続人との関係によっては、手続きが進めにくいこともある
専門家(弁護士・司法書士・行政書士など) 手続きに慣れている。報酬がかかる
信託銀行 遺言信託などのサービスとして引き受ける。報酬がかかる

相続人の間で争いがありそうな場合は、中立の立場の専門家を選ぶと、手続きがこじれにくくなります。

ただし、相続人の間の争いを代理して交渉することは、弁護士でなければできません。

遺言執行者の決め方

遺言執行者の決め方(遺言で指定・家庭裁判所が選任)

遺言で指定する

遺言者は、遺言で遺言執行者を指定することができ、指定を第三者に任せることもできます(民法1006条)。

指定された人は、引き受けるかどうかを自分で決められます。

相続人などは、指定された人に対して、期間を決めて引き受けるかどうか答えるよう催告でき、期間内に答えがなければ引き受けたものとみなされます(民法1008条)。

遺言書の作り方は自筆証書遺言の書き方と文例、公正証書遺言の必要書類と費用で説明しています。

遺言書での指定の書き方(文例)

第〇条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。

住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

氏名 〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)

2 遺言執行者は、預貯金の払戻し、名義変更、解約その他本遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有する。

3 遺言執行者に対する報酬は、〇〇とする。

遺言執行者の権限を具体的に書いておくと、金融機関の手続きで説明しやすくなります。

指定する人には、遺言を作る前に引き受けてもらえるか確認しておきましょう。

指定した人が先に亡くなる場合に備えて、予備の遺言執行者を書いておく方法もあります。

家庭裁判所に選任してもらう

遺言に指定がない場合や、指定された人が亡くなったり辞退したりした場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます(民法1010条)。

項目 内容
申立人 利害関係人(相続人、遺言者の債権者、遺贈を受けた人など)
申立先 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
費用 遺言書1通につき収入印紙800円分、連絡用の郵便切手(裁判所ごとに違う)
主な添付書類 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本、遺言執行者候補者の住民票、遺言書の写しまたは検認調書謄本の写し、利害関係を示す資料

申立書に遺言執行者の候補者を書くことができます。

戸籍の集め方は相続の戸籍謄本の集め方で説明しています。

遺言執行者の仕事の流れ

遺言執行者の仕事の流れ

  1. 就任を承諾し、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知する(民法1007条2項)
  2. 自筆の遺言書の場合は、家庭裁判所の検認を受ける(法務局で保管していたものを除く)
  3. 戸籍を集めて相続人を確定する
  4. 相続財産を調べ、財産目録を作って相続人に交付する(民法1011条)
  5. 遺言の内容に沿って、預金の解約・払い戻し、不動産の名義変更、遺贈の引き渡しなどをする
  6. 手続きが終わったら、相続人に報告する

遺言執行者は、仕事をするにあたって、善良な管理者としての注意義務を負い、相続人の求めがあれば状況を報告しなければなりません(民法1012条3項・644条・645条)。

検認の手続きは遺言書の検認とはで確認できます。

預金と不動産の手続き

財産 遺言執行者ができること
預貯金 特定の相続人に預金を渡す遺言の場合、預金の払い戻しを請求できる。預金の全部を渡す遺言なら解約の申し入れもできる(民法1014条3項)
不動産 特定の相続人に不動産を渡す遺言(特定財産承継遺言)の場合、その相続人のために登記の申請ができる(民法1014条2項)
遺贈 遺贈の履行は、遺言執行者だけができる(民法1012条2項)

金融機関や法務局の手続きでは、遺言書、遺言執行者であることを示す書類、戸籍などが必要です。

手続きごとの書類は相続手続きの必要書類一覧表にまとめています。

相続人は執行を妨げてはいけない

遺言執行者がいる場合、相続人は、相続財産を処分するなど、遺言の執行を妨げる行為をしてはなりません(民法1013条1項)。

これに違反した行為は無効ですが、そのことを知らない第三者には、無効を主張できません(同条2項)。

遺言執行者の報酬

遺言執行者の報酬は、遺言で決めておくことができます。

遺言に定めがない場合は、家庭裁判所が、相続財産の状況などを考えて報酬を決めることができます(民法1018条)。

専門家や信託銀行に頼む場合の報酬は、依頼先によって違います。

遺言を作るときに、誰を遺言執行者にするかと、報酬の決め方を確認しておきましょう。

遺言の執行にかかった費用は、相続財産から払います(民法1021条)。

辞任・解任

手続き 要件
辞任 正当な事由があるときに、家庭裁判所の許可を得て辞任できる(民法1019条2項)
解任 任務を怠ったときなど正当な事由があるときに、利害関係人が家庭裁判所に解任を請求できる(民法1019条1項)

遺言執行者が自分で手続きを進めるのが難しい場合は、自分の責任で第三者に任せることもできます(民法1016条)。

遺言執行者と相続税・相続登記

相続税の申告は、遺言執行者の仕事ではなく、財産をもらった相続人や受遺者がそれぞれ行います。

申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

相続税がかかるかどうかは相続税はいくらからかかる?で確認できます。

相続税の申告を専門家に頼みたい場合は、相続税に詳しい税理士に相談しましょう。

不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月から義務になりました。

登記の手続きは相続登記の必要書類と自分でやる手順で説明しています。

遺贈の種類と相続との違いは遺贈とはで説明しています。

遺言執行者が作る財産目録の書き方は、財産目録の書き方とひな形(Excel・Word・無料)で説明しています。

遺言執行者の仕事ではない葬儀や解約を頼む方法は死後事務委任契約とはで説明しています。

よくある質問

遺言執行者に指定されたら断れますか?

指定された人は、引き受けるかどうかを自由に決められます。

ただし、一度引き受けたあとに辞めるには、正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です。

遺言執行者がいると、遺産分割協議はできませんか?

遺言で分け方が決まっている財産について、遺言と違う分け方をする場合は、遺言執行者の関与が問題になります。

相続人全員と遺言執行者が合意できるかどうかなど、事情によって扱いが変わるので、専門家に相談しましょう。

遺言執行者は遺留分の請求にも対応しますか?

遺留分侵害額の請求は、遺留分を侵害した相続人や受遺者に対して行うもので、遺言執行者の仕事ではありません。

遺留分の仕組みは遺留分とはで説明しています。

まとめ

  • 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために相続財産を管理し、手続きを進める人
  • 遺言で指定するか、家庭裁判所に選任を申し立てる(遺言書1通につき収入印紙800円)
  • 未成年者と破産者以外ならなれる。相続人でもよい
  • 就任したら遺言の内容を相続人に通知し、財産目録を交付する
  • 報酬は遺言で決めるか、定めがなければ家庭裁判所が決められる

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:民法644条・645条・1006条〜1021条(2019年7月1日施行の改正後)/裁判所「遺言執行者の選任」(2026年10月1日確認)

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