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遺品整理はいつから?捨ててはいけない物・費用は誰が払うか・業者の選び方と相続の注意点

遺品整理の進め方 相続手続き
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親が亡くなったあと、実家に残された家具や衣類、書類などの片付けに悩む方は多いでしょう。

遺品整理は、ただの片付けではありません。

遺品は相続財産なので、進め方を間違えると、相続人どうしのトラブルや、相続放棄ができなくなる原因になります。

この記事では、民法や環境省の案内などをもとに、遺品整理を始める時期、捨ててはいけない物、費用の負担、業者の選び方を説明します。

先に結論
  • 遺品は相続財産。遺産分割までは相続人全員の共有なので、処分や形見分けは全員で話し合ってから
  • 相続放棄を考えているなら、価値のある遺品を処分・売却しない(民法921条1号)
  • 始める前に、遺言書・通帳・権利証・契約書類を探して分けておく
  • 費用は、話し合いで決めた相続人が負担するのが一般的。相続税の計算では差し引けない
  • 業者に頼むなら、家庭ごみを運ぶ市区町村の許可(または許可業者との提携)を確認する

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

遺品整理はいつから始める?

遺品整理を始める時期に、法律上の決まりはありません。

ただし、次の期限や事情に合わせて、始める時期を決めると進めやすくなります。

時期の目安 理由
葬儀のあとすぐ 賃貸住宅は、解約するまで家賃がかかる。退去の期限を管理会社に確認する
四十九日の前後 親族が集まる機会に、形見分けや分け方を話し合える
相続放棄の期限(3か月)の前 放棄を考えるなら、遺品に手をつける前に放棄するかどうかを決める
相続税の申告期限(10か月)の前 価値のある遺品は相続税の対象。財産の調査を兼ねて整理する

死亡後の手続きの期限は死亡後の手続き一覧と期限で確認できます。

遺品整理の前に知っておきたい法律のルール

遺品は相続人全員のもの

亡くなった方の家財や預金などは、相続が始まると相続人に引き継がれます。

遺産分割が終わるまでは、相続財産は相続人全員の共有です(民法898条)。

1人の相続人が勝手に捨てたり売ったりすると、ほかの相続人とのトラブルになりかねません。

とくに価値のある物は、遺産分割の対象として、全員で分け方を決めましょう。

相続放棄を考えているなら手をつけない

相続財産を処分すると、相続を認めたもの(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条1号)。

貴金属や骨董品、車など、価値のある遺品を売ったり捨てたりするのは避けましょう。

経済的な価値がほとんどない衣類や写真などの形見分けは、処分にあたらないと判断された裁判例もありますが、どこまでが許されるかはケースによって違います。

借金が多いかもしれない場合は、遺品整理の前に放棄するかどうかを決めてください。

相続放棄の注意点は相続放棄とはで説明しています。

捨ててはいけない物

遺品整理の前に探しておく物

遺品整理を始める前に、相続の手続きに必要な物を探して、別に保管しておきましょう。

探す物 使う場面
遺言書 遺産の分け方が決まっていることがある
通帳・キャッシュカード・証券会社の書類 預金や株式の相続手続き
権利証(登記識別情報)・固定資産税の通知書 不動産の相続登記、財産の調査
保険証券 死亡保険金の請求
年金証書・年金の通知書 年金の停止、未支給年金の請求
借用書・ローンの書類・請求書 借金の有無の確認(相続放棄の判断)
印鑑・実印 手続きの確認に使うことがある
スマートフォン・パソコン ネット銀行、ネット証券、サブスクの契約などの手がかり
郵便物 取引のある金融機関や契約先の手がかり

財産や借金の調べ方は相続財産の調べ方で説明しています。

デジタル遺品の整理

スマートフォンやパソコンの中には、ネット銀行やネット証券の口座、電子マネー、有料サービスの契約などが残っていることがあります。

これらも相続財産や、解約が必要な契約です。

  • メールやアプリから、取引のある金融機関やサービスを確認する
  • 定期的な引き落としを通帳やクレジットカードの明細で確認し、不要な契約を止める
  • 写真などのデータは、残すかどうかを家族で決める
  • 端末を処分する前に、データを消去する

パスワードが分からない場合、金融機関やサービスの会社に、相続人であることを示す書類を出して手続きを相談します。

遺言書が見つかったら開けない

自宅で自筆の遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所で検認を受ける必要があります(民法1004条)。

封がしてある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもとで開けなければならず、勝手に開けると5万円以下の過料の対象になります(民法1004条3項・1005条)。

ただし、法務局の遺言書保管制度に預けられていた遺言書は、検認が不要です。

検認の手続きは遺言書の検認とはで確認できます。

遺品整理の進め方

遺品整理の進め方

  1. 相続人で話し合い、いつ・誰が・どこまで整理するかを決める
  2. 遺言書や通帳など、捨ててはいけない物を探して分ける
  3. 形見分けする物、売る物、捨てる物、供養する物に仕分ける
  4. 価値のある物は、遺産分割で誰が受け取るかを決める
  5. 処分する物を、自治体の回収や業者の依頼で片付ける
  6. 家を売る・貸す・返すなど、家の扱いを決める

仕分けの目安

分類 主な物 扱い方
残す(手続き用) 書類、通帳、印鑑など 相続手続きが終わるまで保管する
形見分け 写真、手紙、愛用品など 相続人や親族で話し合って分ける
売る 貴金属、骨董品、美術品、ブランド品、家電など 価値のある物は遺産分割の対象。査定して金額を確認する
供養する 仏壇、位牌、人形など 寺院や業者に供養を頼むことがある
捨てる 衣類、日用品、古い家具など 自治体のルールに従って捨てる

価値のある物は処分する前に査定する

絵画や骨董品、掛け軸などは、見た目では価値が分からないことがあります。

処分する前に、専門の買取業者に査定を頼むと、思わぬ値段がつくことがあります。

査定の結果は、遺産分割で分け方を決めるときの目安にもなります。

相続放棄を考えている場合は、売らずに、放棄するかどうかを先に決めましょう。

自分で片付けるときの捨て方

遺品を自分たちで片付ける場合は、自治体のごみの出し方に従います。

品目 捨て方
ふつうのごみ・資源ごみ 自治体の分別ルールで出す
家具などの粗大ごみ 自治体に申し込んで回収してもらう
テレビ・エアコン・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機) 家電リサイクル法の対象。買った店や指定の方法でリサイクルする
パソコン メーカーの回収や、自治体の案内する方法でリサイクルする

家電リサイクル法の対象の4品目は、自治体の粗大ごみでは出せないのが一般的です。

パソコンやスマートフォンは、捨てる前に中のデータを確認し、消去しておきましょう。

遠方に住んでいて通えない場合

実家が遠い場合は、何度も通うと交通費や時間の負担が大きくなります。

  • 最初に1回、相続人がそろって実家に行き、残す物と書類を持ち帰る
  • 残りの仕分けと運び出しを業者に頼み、立ち会いなしで進められるか確認する
  • 作業前後の写真を送ってもらい、作業の範囲を確認する
  • 見つかった貴重品や書類は、郵送で送ってもらう

立ち会いなしで頼む場合は、見積もりの内容と、処分しない物のリストを書面で渡しておきましょう。

遺品整理の費用は誰が払う?

遺品整理の費用を誰が払うか、法律で決まってはいません。

実際には、次のような方法で決めることが多いです。

  • 家を相続する人が払う
  • 相続人で、相続分に応じて分担する
  • 遺産の預金から払い、遺産分割で精算する

遺産の預金から払う場合は、相続人全員の同意を得て、領収書を残しておきましょう。

相続放棄を考えている場合は、遺産の預金を使うと単純承認とみなされるおそれがあるので注意が必要です。

相続税の計算で差し引ける?

相続税の計算では、亡くなった方の借金や、葬式費用を遺産から差し引けます。

国税庁が示す葬式費用は、通夜・告別式・火葬・納骨などにかかった費用で、遺品整理の費用は含まれていません。

遺品整理は亡くなったあとに相続人がする作業なので、亡くなった方の借金にもあたりません。

そのため、遺品整理の費用は、相続税の計算で差し引けないと考えられます。

業者に頼む場合の選び方

遺品整理業者を選ぶときの確認点

遠方に住んでいる、物の量が多い、時間がないといった場合は、遺品整理業者に頼む方法があります。

確認すること 理由
家庭ごみを運ぶ許可 家庭から出るごみの収集・運搬には、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要(廃棄物処理法7条)。許可業者と提携しているかを確認する
見積書の内訳 「一式」だけでなく、作業費・運搬費・処分費などの内訳があるか
追加料金の条件 当日に物が増えた場合などの扱いを先に決めておく
貴重品の扱い 通帳や現金、書類が見つかったら、処分せずに渡してもらう
買取の可否 買い取れる物があれば、費用から差し引けることがある

環境省は、許可を持たない業者による不用品の回収に注意するよう呼びかけています。

無許可の業者に頼むと、不法投棄などのトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

「遺品整理士」は民間の団体が認定する資格で、国家資格ではありません。

資格の有無だけでなく、許可や見積もりの内容で判断しましょう。

相続放棄を考えている場合は、業者に片付けや買取を頼む前に、放棄するかどうかを決めてください(民法921条1号)。

実家の片付け・解体の見積もり先

片付けや解体は業者によって費用に差が出るため、見積もりを比べてから頼みましょう。

相談先 向いているケース 注意点
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費用の内訳と見積もりの見方

遺品整理の費用は、部屋の広さ、物の量、作業の人数、建物の階数やエレベーターの有無で大きく変わります。

費用の項目 内容
作業費 仕分け・梱包・運び出しの人件費
運搬費 トラックの台数と距離
処分費 ごみの処分場に払う費用。量と種類で変わる
リサイクル料金 家電リサイクル法の対象品目の料金
オプション ハウスクリーニング、供養、特殊清掃など
買取額(差し引き) 買い取れる物があれば、費用から差し引かれることがある

見積もりは、実際に部屋を見てもらう訪問見積もりで、複数の業者から取りましょう。

電話やメールだけの見積もりは、当日に追加料金を求められる原因になりやすいです。

料金トラブルを防ぐには

国民生活センターには、不用品の回収で、作業のあとに高額な料金を請求されたといった相談が寄せられています。

  • 作業の前に、書面の見積もりをもらい、追加料金がかかる条件を確認する
  • 「無料回収」とうたう車での巡回回収は、許可の有無を確認する
  • 契約を急がせる業者には、その場で決めない
  • 困ったときは、消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談する

物が多すぎる家・ゴミ屋敷の場合

長く一人暮らしだった親の家は、物が積み重なり、家族だけでは片付けられないことがあります。

ゴミ屋敷の片付けを専門にする業者は、分別から運び出し、清掃までまとめて引き受けることが多いです。

見積もりは無料のことが多いので、複数社から取って、作業の範囲と金額を比べましょう。

物が多い家の片付けの見積もり

ゴミ屋敷片付け七福神は、ゴミ屋敷や物が多い家の片付け、遺品整理、不用品回収を行う業者です。訪問見積もりは無料です。

対応エリアは公式サイトで確認してください。

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親が元気なうちにできること(生前整理)

遺品整理の負担を減らすには、親が元気なうちに一緒に物を減らしておく「生前整理」が役立ちます。

  • 通帳、保険証券、権利証などの保管場所を家族で共有する
  • 使っていない口座やクレジットカードを整理する
  • 残してほしい物と、処分してよい物を聞いておく
  • 遺言書を作っておく(誰に何を渡すかが決まっていると、遺品の分け方で迷いにくい)

遺言書の作り方は自筆証書遺言の書き方と文例で説明しています。

遺品整理のあとの家の扱い

遺品整理が終わったら、家をどうするかを決めます。

家の状況 主な選択肢
持ち家 住む、貸す、売る、解体する
賃貸住宅 解約して明け渡す(原状回復・敷金の精算)
公営住宅 自治体の手続きに従って返還する

持ち家を売るか残すかの判断は相続した実家は売る?残す?で解説しています。

自宅で亡くなって発見が遅れた場合の特殊清掃は親が自宅で亡くなったら(孤独死)を参考にしてください。

生前整理とあわせてエンディングノートも書いておくと安心です。

遺品の中に権利証が見つからないときの対応は、権利証・登記識別情報をなくしたら(相続登記と売却の方法)で説明しています。

仏壇や位牌の扱い方は実家の仏壇・位牌はどうする?で説明しています。

故人の住所録を使った喪中はがきの準備は喪中はがきの書き方と文例で説明しています。

骨董品や美術品が出てきたときは遺品の骨董品・美術品はどうする?で説明しています。

遺品整理を含む実家じまい全体の進め方は実家じまいの進め方で説明しています。

よくある質問

形見分けに贈与税はかかりますか?

形見分けは、相続した財産を相続人や親族で分けることです。

ただし、高価な物を相続人以外の人に渡すと、贈与とみなされることがあります。

価値のある物は、遺産分割の中で誰が受け取るかを決めておきましょう。

遺品整理を相続人の1人が勝手に進めてしまいました

勝手に処分された物に価値があった場合は、遺産分割の話し合いで精算を求めることが考えられます。

話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を使う方法もあります。

調停の流れは遺産分割調停とはで説明しています。

賃貸の退去期限までに片付けが終わりません

賃貸住宅は、解約して明け渡すまで家賃がかかります。

管理会社に事情を伝え、退去の日を相談しましょう。

相続放棄を考えている場合は、解約や家財の処分が相続を認めたとみなされることがあるので、手続きの前に方針を決めてください。

仏壇や位牌はどうすればよいですか?

仏壇や位牌は祭祀財産といい、ほかの遺産とは別に、祭祀を受け継ぐ人が引き継ぎます(民法897条)。

処分する場合は、寺院に供養(閉眼供養など)を頼んでから、業者や自治体の方法で処分することが多いです。

お墓の整理は墓じまいの方法と手順・費用を参考にしてください。

まとめ

  • 遺品は相続財産。処分や形見分けは相続人全員で話し合ってから
  • 相続放棄を考えているなら、価値のある遺品を処分・売却しない
  • 遺言書・通帳・権利証・借金の書類を先に探す。封のある遺言書は開けない
  • 家電4品目は家電リサイクル法に従う。業者は一般廃棄物の許可を確認する
  • 遺品整理の費用は、相続税の計算では差し引けない

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:民法897条・898条・921条・1004条・1005条/廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条/特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)/環境省「廃棄物の不適正処理に関する注意喚起」/国税庁タックスアンサーNo.4129(2026年9月30日確認)

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