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遺産分割調停とは?申立ての費用・必要書類・流れと不成立後の審判

遺産分割調停とは 相続手続き
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遺産の分け方について、相続人どうしで話し合ってもまとまらない。

連絡を無視する相続人がいて、話し合いそのものができない。

そんなときに使えるのが、家庭裁判所の「遺産分割調停」です。

この記事では、裁判所の公式の案内に沿って、申立てができる人・申立先・費用・必要書類・調停の進み方と、調停がまとまらなかったときの流れを、わかりやすく説明します。

先に結論
  • 遺産分割調停は、家庭裁判所で調停委員を間に入れて話し合う手続き
  • 申立先は、相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所(または全員で合意した家庭裁判所)
  • 費用は、被相続人1人につき収入印紙1,200円と、連絡用の郵便切手
  • まとまらなければ、自動的に審判に移り、裁判官が分け方を決める

この記事の監修:行政書士(2018年開業・社会保険労務士試験合格)。

法務局・裁判所・国税庁などの一次資料で内容を確認しています。

遺産分割調停とは

遺産分割協議と遺産分割調停の違い

遺産分割調停は、相続人どうしの話し合いがまとまらないときに、家庭裁判所で話し合いを続けるための手続きです。

相続人のうち1人または何人かが、ほかの相続人全員を相手方として申し立てます。

誰が間に入るのか

調停では、裁判官と、民間から選ばれた調停委員(通常2人)でつくる「調停委員会」が間に入ります。

調停委員会は、それぞれの相続人から事情を聴き、必要に応じて資料を出してもらったり、遺産の鑑定をしたりして、状況を把握します。

そのうえで、各相続人の希望を聴き、解決案を示したり、助言をしたりして、合意を目指します。

相手と顔を合わせずに話せる

調停では、申立人と相手方が、交代で調停室に入って話すのが一般的です。

そのため、関係が悪くなった相続人と直接言い合う必要はありません。

待合室も、申立人側と相手方側で分けられていることが多いです。

話し合い(遺産分割協議)との違い

比べるところ 遺産分割協議 遺産分割調停
場所 自宅など(郵送や電話でも可) 家庭裁判所
間に入る人 いない(相続人だけ) 裁判官と調停委員
まとまったとき 遺産分割協議書を作る 調停調書が作られる
まとまらないとき そのまま(放置される) 自動的に審判に移る
費用 基本的にかからない 印紙1,200円+郵便切手

話し合いでまとまった場合の協議書の作り方は遺産分割協議書の書き方|Word雛形4パターンで解説しています。

遺産分割調停の申立て(裁判所の案内より)

遺産分割調停の申立ての費用と申立先

項目 内容
申立てができる人 共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人
申立先 相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で決めた家庭裁判所
費用 被相続人1人につき収入印紙1,200円分、連絡用の郵便切手(額は裁判所ごとに違う)

申立先の決め方

申立先は、亡くなった方の住所地ではなく、相手方の住所地が基準です。

相手方が複数いる場合は、そのうち1人の住所地の家庭裁判所を選べます。

たとえば、兄が東京、妹が大阪に住んでいる場合、兄と妹を相手方にするなら、東京か大阪の家庭裁判所に申し立てられます。

当事者全員が合意すれば、それ以外の家庭裁判所にすることもできます。

費用

収入印紙は、被相続人1人につき1,200円分です。

連絡用の郵便切手は、裁判所ごとに額や組み合わせが違います。申し立てる家庭裁判所のホームページで確認しましょう。

郵便料は、郵便切手のほか、保管金として納める(ネットバンキングやATMから電子納付する)こともできます。

弁護士に依頼する場合は、別に弁護士費用がかかります。

申立てに必要な書類

申立書と添付書類

  • 申立書1通と、その写しを相手方の人数分
  • 事情説明書(遺産分割)
  • 進行に関する照会回答書(遺産分割)
  • 送達場所等届出書

申立書の書式と記載例は、裁判所のホームページからダウンロードできます。

申立書の写しは、相手方に送られます。

全員に共通する書類

書類 ポイント
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 戸籍に代えて法定相続情報一覧図の写しを出せる場合がある(裁判所に確認)
相続人全員の戸籍謄本 -
相続人全員の住民票または戸籍附票 -
亡くなった子(とその代襲者)の出生から死亡までの戸籍 子が先に亡くなっている場合
遺産に関する証明書 不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しか残高証明書、有価証券の写しなど

相続人が親や兄弟姉妹の場合は、さらに戸籍が必要になります。

申立て前に取れない戸籍は、申立て後に追加で出すこともできます。

誰が相続人になるかは法定相続人の範囲と順位で確認できます。

遺産の資料は早めに集める

調停では、「どんな遺産が、どれだけあるか」をはっきりさせることから始まります。

登記事項証明書や残高証明書は、申立ての前にそろえておくと、調停が早く進みます。

財産の調べ方は相続財産の調べ方で解説しています。

申立てから終わりまでの流れ

遺産分割調停の申立てから終了までの流れ

  • STEP 1
    申立て
    申立書と必要書類を家庭裁判所に出す(窓口か郵送)
  • STEP 2
    期日の通知
    家庭裁判所から、申立人と相手方に第1回の期日(調停を行う日)が知らされる
  • STEP 3
    調停期日
    家庭裁判所で、調停委員に事情や希望を話す。1回2時間ほどかかることが多い
  • STEP 4
    2回目以降の期日
    合意ができるまで、およそ1か月に1回程度のペースで続く
  • STEP 5
    調停成立
    全員が合意すると、合意の内容が調停調書に書かれて終わる
  • STEP 6
    不成立なら審判へ
    合意できなければ調停は不成立になり、自動的に審判の手続きが始まる

調停で話し合う順番

遺産分割調停では、次のような順番で話し合いを進めるのが一般的です。

  • STEP 1
    相続人の範囲
    誰が相続人か
  • STEP 2
    遺産の範囲
    分ける対象となる遺産は何か
  • STEP 3
    遺産の評価
    不動産などをいくらと考えるか
  • STEP 4
    各相続人の取り分
    法定相続分をもとに、特別受益や寄与分を考える
  • STEP 5
    分け方
    誰が何を取得するか(現物・代償・換価など)

前の段階で合意できたことを積み上げて、次に進みます。

遺産の分け方の4種類は遺産分割協議書の書き方で、代償金で分ける方法は代償分割の協議書で解説しています。

調停の日の過ごし方

初めての調停の日は、次のような流れで進むのが一般的です。

  • 指定された時刻までに家庭裁判所の受付に行き、呼出状を見せて待合室に案内してもらう
  • 名前を呼ばれたら調停室に入り、調停委員に事情や希望を話す(30分程度ずつ交代することが多い)
  • 相手方が話している間は、待合室で待つ
  • 最後に、次回までに用意する資料や、次の期日を決める

持ち物は、呼出状、印鑑、本人確認書類、申立書の控え、遺産の資料、メモ帳などです。

家庭裁判所から持ち物の案内があれば、それに従いましょう。

調停委員に伝えるときのコツ

調停委員は、限られた時間で双方の話を聴きます。

伝えたいことは、事前に紙にまとめておくと、落ち着いて話せます。

  • 希望をはっきり伝える:「自宅に住み続けたい」「預金で受け取りたい」など
  • 理由を具体的に話す:なぜその分け方を希望するのか
  • 資料で示す:評価額や介護の記録など、主張を裏づける資料を出す
  • 譲れる点も考えておく:すべてを通そうとすると、話し合いが進まない

相手方への不満や感情的な話ばかりになると、話し合いが進みにくくなります。

「遺産をどう分けるか」に話を絞るのが、早く解決するコツです。

調停が成立したら

全員が合意すると、合意の内容が「調停調書」に書かれ、調停は終わります。

調停調書は、確定した審判と同じ効力を持ちます。

  • 不動産:調停調書の正本(または謄本)を使って、取得した相続人が単独で相続登記を申請できる
  • 預貯金:調停調書を銀行に出して、払い戻しを受ける
  • 代償金:約束どおり払われない場合は、調停調書にもとづいて強制執行を申し立てられる

協議書のように、相続人全員の実印や印鑑証明書を集める必要はありません。

調停がまとまらなかったら(審判)

話し合いがまとまらず調停が不成立になると、自動的に審判の手続きが始まります。

あらためて申し立てる必要はありません。

審判では、裁判官が、遺産の種類や性質、各相続人の年齢・職業・生活の状況など、一切の事情を考えて、分け方を決めます。

審判に不服がある場合は、審判の告知を受けてから2週間以内に、即時抗告(高等裁判所への不服申立て)ができます。

調停では決められないこともある

次のような争いは、遺産分割調停・審判ではなく、別の手続き(訴訟など)で決めることになる場合があります。

  • 遺言書が有効かどうか
  • ある財産が遺産に含まれるかどうか(亡くなった方のものか、相続人のものか)
  • 亡くなる前に、相続人の1人が預金を勝手に引き出したかどうか

こうした点で争いがあると、調停が長引いたり、いったん取り下げて訴訟で決めることになったりします。

特別受益・寄与分と「10年」のルール

相続開始から10年のルール

特別受益と寄与分

調停では、法定相続分をそのまま使うのではなく、次のような事情を考えて取り分を調整することがあります。

  • 特別受益:生前に、住宅購入資金などの大きな贈与を受けた相続人がいる
  • 寄与分:家業を無償で手伝った、長年介護をしたなどで、財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人がいる

寄与分を主張する場合は、遺産分割調停とは別に「寄与分を定める処分調停」を申し立てるのが一般的です。

相続開始から10年を過ぎると

2023年4月1日から、相続開始から10年を過ぎたあとの遺産分割のルールが変わりました。

10年を過ぎると、原則として特別受益や寄与分を主張できず、法定相続分(または遺言による相続分)で分けることになりました。

10年を過ぎる前に家庭裁判所に調停などを申し立てていれば、主張できます。

2023年4月1日より前に始まった相続にも、このルールが適用されます。

ただし猶予期間があり、相続開始から10年を過ぎるときか、2028年3月31日のどちらか遅いときまでとされています。

特別受益や寄与分を主張したい場合は、期限に注意しましょう。

調停を申し立てる前に考えたいこと

  • 時間がかかる:月1回程度のペースのため、争いが多いと1年以上かかることもある
  • 平日に家庭裁判所へ行く:期日は平日の日中。遠方の裁判所だと移動の負担もある
  • 相続税の申告期限は延びない:調停中でも、相続税の申告は10か月以内に必要。いったん法定相続分で申告し、分割が決まってから修正する方法がある
  • 相続登記の義務:相続登記の義務化の期限(3年)に間に合わない場合は、相続人申告登記という簡単な手続きで義務を果たせる

遠方の家庭裁判所の場合、裁判所によっては、電話会議やウェブ会議で期日に参加できることもあります。

申し立てる裁判所に確認しましょう。

申立書を書くときのポイント

申立書には、当事者(申立人と相手方)、被相続人、申立ての趣旨、申立ての理由を書きます。

裁判所のホームページに書式と記載例があるので、それを見ながら書けば難しくありません。

  • 相手方は、申立人以外の相続人全員。1人でも抜けると手続きが進まない
  • 遺産は「遺産目録」に、土地・建物・預貯金・株式などの種類ごとに書く
  • 申立ての理由は、話し合いがまとまらない事情を簡潔に書く(例:分け方の希望が合わない、相続人の1人が話し合いに応じない)

申立書の写しは相手方に送られるので、感情的な表現は避け、事実を淡々と書きましょう。

詳しい事情は、別の書類の「事情説明書」に書きます。

遺産目録は財産調査の結果を使う

遺産目録には、不動産は登記事項証明書のとおりに所在・地番を書き、預貯金は銀行名・支店名・口座番号を書きます。

わかっている範囲で書けば大丈夫です。調停の途中で新しい遺産が見つかった場合は、追加で出せます。

財産目録の作り方は相続財産の調べ方で解説しています。

調停と審判のどちらを申し立てるか

遺産分割は、調停を経ずに、いきなり審判を申し立てることもできます。

ただし、審判を申し立てても、家庭裁判所の判断で調停から始められることが多いです(付調停)。

まずは話し合いで解決を目指すのが基本なので、通常は調停から申し立てます。

相続人の1人が行方不明で話し合いができない場合は、調停の前に、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があります。

モデルケース:実家をめぐって話し合いがまとまらない

たとえば、父が亡くなり、実家(評価額2,000万円)と預金600万円が遺産で、相続人が長男と長女の2人という場合で考えます。

  • 長男は、実家に住み続けたいので実家を取得したい
  • 長女は、法定相続分どおり半分(1,300万円)を受け取りたい

長男が実家を取得すると、長女の取り分は預金600万円だけになり、700万円足りません。

話し合いがまとまらず調停を申し立てた場合、調停では、次のような解決案が話し合われるのが一般的です。

  • 長男が実家を取得し、長女に代償金を払う(代償分割)
  • 実家を売って、代金を分ける(換価分割)
  • 実家の評価額そのものを見直す(鑑定をする)

この例のように、争点が「実家の評価」と「代償金を払えるか」に絞られると、話し合いが進みやすくなります。

代償分割の協議書は代償分割・数次相続の遺産分割協議書で解説しています。

相続した不動産の売却・買取の相談先

実家の評価額で意見が割れるときは、売った場合の価格を査定で確かめておくと、話し合いの材料になります。

ラクウルは、再建築不可・共有持分・借地権・事故物件など、訳あり不動産の買取を扱う不動産会社です。

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共有持分・借地権・再建築不可などの買取の相談先

ワケガイは、株式会社ネクスウィルが運営する、訳あり不動産の買取サービスです。

共有持分、借地権のある物件、再建築不可物件、事故物件、長く空いている空き家などを扱っています。

仲介では売りにくい物件は、複数の買取業者に査定を頼んで比べてみましょう。

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売って分ける方法を話し合う場合は換価分割とはを参考にしてください。

相続人が行方不明で話し合えない場合は不在者財産管理人と失踪宣告の手続きを使います。

調停でよく争点になる特別受益と寄与分は特別受益と寄与分とはで説明しています。

調停が長引いて登記の期限に間に合わないときは、相続人申告登記のやり方(必要書類・申出書の書き方)を確認してください。

調停で不動産の評価が問題になる場合は相続した不動産の価格の調べ方で説明しています。

よくある質問

弁護士に頼まないと調停はできませんか?

自分で申し立てることができます。

書式と記載例は裁判所のホームページにあり、調停委員が進め方を説明してくれます。

ただし、特別受益や寄与分、遺産の評価で大きな争いがある場合は、弁護士に相談することも考えましょう。

相手方が調停に来ないとどうなりますか?

相手方が正当な理由なく来ない場合、調停は成立しません。

期日を何回か重ねても出席しない場合は、調停不成立となり、審判に移るのが一般的です。

審判では、相手方が出席しなくても、裁判官が分け方を決めます。

相続人が遠方に住んでいて、申立先の家庭裁判所に行けません

申立先は、相手方の住所地などで決まるため、自分の住所から遠くなることがあります。

裁判所によっては、電話会議やウェブ会議を使えることがあるので、申立先に確認しましょう。

調停の途中で取り下げられますか?

申立人は、調停を取り下げることができます。

調停の外で相続人どうしの話し合いがまとまった場合などは、遺産分割協議書を作り、調停を取り下げることもあります。

調停にはどれくらいの期間がかかりますか?

期間は、争っている点の数や、相続人の人数によって大きく変わります。

期日はおよそ1か月に1回程度のため、数回で合意できれば数か月で終わりますが、遺産の評価や特別受益で争いがあると、1年以上かかることもあります。

調停中に遺産の預金を引き出せますか?

遺産分割が終わるまでは、原則として相続人全員の同意がないと、亡くなった方の預金は払い戻せません。

ただし、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を使えば、1人でも一定額(1つの金融機関につき150万円が上限)まで払い戻しを受けられます。

葬儀費用や生活費で急ぎの場合は、銀行に相談しましょう。

調停で決まった内容を守ってもらえないときは?

調停調書は、確定した審判と同じ効力を持ちます。

代償金が払われないなど、調停で決まったことを守ってもらえない場合は、家庭裁判所に履行勧告を申し出たり、強制執行を申し立てたりできます。

まとめ

  • 遺産分割調停は、家庭裁判所で調停委員を間に入れて話し合う手続き
  • 申立先は相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所。費用は被相続人1人につき印紙1,200円と郵便切手
  • 成立すると調停調書ができ、協議書の代わりに登記や銀行の手続きに使える
  • まとまらなければ自動的に審判に移り、裁判官が分け方を決める
  • 相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益・寄与分を主張できなくなる

監修者

行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。

遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。

このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。

詳しくは運営者情報をご覧ください。

参考資料:裁判所「遺産分割調停」(申立人・申立先・費用・必要書類)/法務省「民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)」(2026年9月25日確認)

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