家族が亡くなると、悲しむ間もなく、役所・年金・銀行などの手続きが次々に必要になります。しかも、それぞれに期限があります。
この記事では、亡くなった日から「いつまでに」「何を」すればよいかを、期限の早い順に一覧にしました。
上から順に片づけていけば、期限を逃しません。
- 7日以内:死亡届(葬儀社が代わりに出してくれることが多い)
- 14日以内:健康保険・介護保険・世帯主の変更などの役所の手続き
- 3か月以内:借金が多いときの相続放棄
- 10か月以内:相続税の申告(かかる人だけ)
期限ごとの手続き一覧

7日以内:死亡届
| 手続き | どこで | ひとこと |
|---|---|---|
| 死亡届の提出 | 市区町村役場 | 亡くなったことを知った日から7日以内。死亡診断書と1枚になった用紙で出す。葬儀社が代わりに出すことが多い |
| 火葬許可の申請 | 市区町村役場 | 死亡届と一緒に出す |
死亡届を出す前に、死亡診断書のコピーを何枚か取っておくと安心です。生命保険の請求などで使うことがあります。
14日以内:役所の手続き
| 手続き | 対象になる人 |
|---|---|
| 国民健康保険の資格喪失 | 亡くなった方が国民健康保険に入っていた(保険証を返す) |
| 後期高齢者医療の資格喪失 | 亡くなった方が75歳以上だった |
| 介護保険の資格喪失 | 亡くなった方が65歳以上、または介護認定を受けていた |
| 世帯主の変更 | 亡くなった方が世帯主で、残された世帯に2人以上いる |
多くの市区町村では、これらを1か所で案内する「おくやみ窓口」を設けています。
まずは役所に電話して、何を持っていけばよいか聞くのが早道です。
できるだけ早く:年金・勤務先・契約の止め方
| 手続き | ひとこと |
|---|---|
| 年金を止める・未支給年金を請求する | 年金は亡くなった月の分まで受け取れる。まだ受け取っていない分は、生計を同じくしていた遺族が「未支給年金」として請求できる。日本年金機構にマイナンバーが登録されていれば、死亡届は原則として省略できる |
| 遺族年金の請求 | 条件に当てはまる遺族は、遺族年金を受け取れる。年金事務所で確認する |
| 勤務先への連絡 | 在職中に亡くなった場合。最後の給与や退職金、社会保険の手続きがある |
| 公共料金・携帯電話・クレジットカード | 名義の変更や解約。引き落とし口座が止まる前に切り替える |
| 金融機関への連絡 | 連絡すると口座が止まる。公共料金の引き落としも止まるので、先に切り替えておくとよい |
3か月以内:相続するかどうか決める
亡くなった方に借金が多いときは、「相続放棄」を検討します。相続放棄をすると、財産も借金も受け継がなくなります。
相続放棄は、相続が始まったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申し出なければなりません。
3か月を過ぎると、借金も含めてすべて受け継いだものとみなされます。くわしくは相続放棄とはで解説しています。
4か月以内:準確定申告(必要な人だけ)
亡くなった方に、自営業の収入や不動産の家賃収入などがあった場合、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を、相続人が申告します。
これを「準確定申告」といい、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内が期限です。
会社員で年末調整を受けていただけの方など、申告が要らない場合もあります。必要かどうかは税務署で確認できます。
10か月以内:遺産分割と相続税の申告
遺産の合計が「基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)」を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。
期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
相続税の申告には、誰が何を受け取るかが決まっている必要があるため、それまでに遺産分割協議書を作っておくのが一般的です。
3年以内:相続登記
土地や建物を相続したら、名義を変える「相続登記」が必要です。
2024年4月1日から義務になり、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になることがあります。
預金・保険・車などの名義変更
期限はありませんが、相続人が決まったら順番に進めます。
| 財産 | 手続き先 | よく求められる書類 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 各金融機関 | 戸籍一式、相続人の印鑑証明書、遺産分割協議書(ある場合) |
| 生命保険金 | 保険会社 | 保険証券、死亡診断書、受取人の本人確認書類 |
| 株式・投資信託 | 証券会社 | 戸籍一式、印鑑証明書、相続人名義の口座 |
| 自動車 | 運輸支局など | 戸籍、遺産分割協議書、車検証 |
提出先ごとに戸籍の束を出すのが大変なら、法定相続情報一覧図を作っておくと、1枚の紙で代わりに使えます。
葬儀代が急に必要なとき
口座が止まると、遺産分割が終わるまで預金を引き出せなくなります。
- 引き出せる額:口座残高×3分の1×その相続人の法定相続分
- 上限:1つの金融機関につき150万円
たとえば、ある銀行に600万円あり、相続人が子2人なら、子1人が引き出せるのは「600万円×3分の1×2分の1=100万円」です。
もらえるお金も忘れずに

手続きをしないと受け取れないお金があります。期限があるので注意してください。
| お金 | 対象 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 葬祭費 | 国民健康保険・後期高齢者医療に入っていた方の葬儀をした人 | 葬儀の翌日から2年 |
| 埋葬料 | 会社の健康保険に入っていた方の遺族 | 2年 |
| 未支給年金 | 年金を受けていた方と生計を同じくしていた遺族 | 5年 |
| 生命保険金 | 受取人 | 多くの保険会社で3年 |
葬祭費の金額は市区町村によって違います。役所の手続きのときに一緒に確認しましょう。
名義変更・解約が必要なものチェックリスト

亡くなった方の名義になっている契約は、思った以上にたくさんあります。
次のリストで、当てはまるものに印をつけながら進めると漏れを防げます。
役所・公的なもの
- 運転免許証(警察署などに返納)
- パスポート(パスポートセンターに返納)
- マイナンバーカード(死亡届の提出で効力を失う。返納の要否は市区町村に確認)
- 身体障害者手帳などの手帳(市区町村に返還)
- 印鑑登録(死亡届の提出で抹消されるのが一般的)
生活の契約
- 電気・ガス・水道(名義変更か解約)
- 固定電話・携帯電話・インターネット
- NHKの受信契約
- 賃貸住宅の契約(借りていた場合は大家さんに連絡)
- クレジットカード・サブスクリプション(動画配信など)
お金に関するもの
- 預貯金(銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行)
- 株式・投資信託(証券会社)
- 生命保険・医療保険(保険会社に請求)
- 自動車(名義変更か廃車)
- 不動産(相続登記)
見落としやすいのが、スマートフォンだけで契約しているネット銀行や、毎月の定額サービスです。
亡くなった方の通帳やクレジットカードの明細を見て、毎月引き落とされているものを確認しましょう。
役所の手続きに持っていくもの
14日以内の手続きは、まとめて役所で済ませるのが効率的です。
一般的に必要になることが多いものは次のとおりです。市区町村によって違うので、事前に電話で確認しましょう。
- 亡くなった方の健康保険証・介護保険証
- 手続きをする人の本人確認書類(運転免許証など)
- 手続きをする人の印鑑
- 葬祭費を受け取る口座がわかるもの
- 葬儀の領収書や会葬礼状(葬祭費の申請で、葬儀をした人を確認するため)
遺族が受け取れる年金の種類
亡くなった方が年金に加入していた場合、条件に当てはまる遺族は遺族年金を受け取れます。
| 年金 | 主な対象 |
|---|---|
| 未支給年金 | 年金を受けていた方と生計を同じくしていた遺族(亡くなった月までの未払い分) |
| 遺族基礎年金 | 国民年金に加入していた方などに生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」 |
| 遺族厚生年金 | 会社員・公務員として厚生年金に加入していた方などに生計を維持されていた遺族 |
受け取れるかどうかは、亡くなった方の加入状況や遺族の年齢・収入によって決まります。
年金事務所で相談すると、受け取れる年金を調べてもらえます。
医療費が高額だったときの払い戻し
亡くなる前の入院などで、1か月の医療費の自己負担が上限を超えていた場合、「高額療養費」として払い戻しを受けられることがあります。
亡くなった方の分は、相続人が請求します。
診療を受けた月の翌月の初日から2年で請求できなくなるので、入院が長かった場合は確認しておきましょう。
相続税がかかるかどうかの目安

相続税は、すべての家庭にかかるわけではありません。
遺産の合計が「基礎控除」以下なら、相続税はかからず、申告も不要です。
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
遺産には、預貯金や不動産のほか、生命保険金や、亡くなる前の一定期間の贈与なども含まれることがあります。
基礎控除に近い場合は、税務署や税理士に確認しておくと安心です。
手続きを家族で分担するコツ
手続きは数が多いので、1人で抱え込むと負担が大きくなります。
家族で分担するなら、次のように分けると進めやすくなります。
| 担当 | 主な手続き | 向いている人 |
|---|---|---|
| 役所・年金の担当 | 14日以内の役所の手続き、年金、葬祭費 | 亡くなった方と同居していた人、平日に動ける人 |
| 戸籍・書類の担当 | 戸籍集め、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書の作成 | 書類作業が得意な人 |
| 財産の担当 | 銀行・証券・保険の手続き、不動産の名義変更 | 財産の内容を把握している人 |
| 生活の担当 | 公共料金・携帯電話・クレジットカードの解約や名義変更 | 近くに住んでいる人 |
進み具合を家族のグループチャットなどで共有しておくと、同じ書類を二重に取るなどの無駄が減ります。
準確定申告が必要な人・不要な人
準確定申告は、亡くなった方の「亡くなった年の所得」について、相続人が代わりに行う確定申告です。
| 必要になりやすい人 | 不要なことが多い人 |
|---|---|
| 自営業・フリーランスだった | 会社員で、給与以外の収入がなかった |
| アパートや駐車場などの賃貸収入があった | 年金収入が一定額以下で、ほかの所得がなかった |
| 年金が一定額を超えていた |
亡くなった年に医療費をたくさん払っていた場合は、申告すると医療費控除で税金が戻ることもあります。
必要かどうか迷ったら、亡くなった方の住所地の税務署に相談しましょう。
年金の止め方や、未支給年金・遺族年金の請求は年金受給者が亡くなったときの手続きで詳しく解説しています。
亡くなった方の所得税の申告は準確定申告とは、葬儀のあとの給付は葬祭費・埋葬料の申請で詳しく解説しています。
モデルケースで見る手続きの順番
たとえば、年金を受けていた父が亡くなり、母と子2人が相続人になる場合で考えます。
| 時期 | 主にやること |
|---|---|
| 亡くなった日〜7日 | 死亡届・火葬許可、葬儀。葬儀社が死亡届を代行することも多い |
| 〜14日 | 国民健康保険・介護保険の資格喪失、年金の手続き(マイナンバー収録なら死亡届は原則不要) |
| 〜1か月 | 遺言書の確認、戸籍の収集、銀行への連絡、公共料金の名義変更 |
| 〜3か月 | 財産と借金の調査。借金が多ければ相続放棄を検討 |
| 〜4か月 | 父に申告が必要な所得があれば準確定申告 |
| 〜10か月 | 遺産分割協議、相続税がかかるなら申告と納付 |
| 〜3年 | 自宅の相続登記 |
このケースでは、最初の1か月に「役所の手続き」と「戸籍集め」を並行して進めると、その後の銀行や登記の手続きがスムーズになります。
母が高齢で手続きが負担になる場合は、子のどちらかが窓口役になり、進み具合を家族で共有しましょう。
手続きチェックリスト(Excel・無料)
この記事で紹介した主な手続きを、期限の目安・窓口・必要書類つきで一覧にしたExcelを用意しました。
「担当する人」の欄を使うと、家族で手続きを分担するときに便利です。
期限は目安です。正確な期限や必要書類は、それぞれの窓口で確認してください。
相続放棄の申述書の書き方と必要書類は相続放棄申述書の書き方と必要書類で解説しています。
手続きごとの必要書類は相続手続きの必要書類一覧表にまとめています。
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四十九日・一周忌など法要の準備は四十九日・一周忌・三回忌の法要の準備で説明しています。
実家の片付けを業者に頼む場合
遺品整理は、重要な書類や思い出の品を先に分けてから進めます(遺品整理はいつから?)。
相続放棄を考えている人は、遺品の処分を始める前に放棄するかどうかを決めてください(民法921条1号)。
実家の片付け・解体の見積もり先
片付けや解体は業者によって費用に差が出るため、見積もりを比べてから頼みましょう。
| 相談先 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
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よくある質問
何から手をつければいいかわかりません
まずは期限が一番短い「死亡届」と「14日以内の役所の手続き」です。
それが終わったら、相続人が誰かを確かめるために戸籍を集め始めます。相続人の範囲は法定相続人の範囲と順位で確認できます。
全部自分でやらないといけませんか?
自分でもできますが、仕事をしながらだと大変です。戸籍集めや銀行の手続きをまとめて任せられるサービスもあります。
どこまで自分でやるかを先に決めておくと、慌てずに済みます。
手続きの順番を間違えるとどうなりますか?
一番困りやすいのは、公共料金などを切り替える前に銀行に連絡して、口座が止まってしまうことです。
引き落としができなくなると、未払いの連絡が来たり、サービスが止まったりします。
銀行に連絡する前に、引き落とし先を変えておきましょう。
亡くなった方のスマートフォンが開けません
ネット銀行やネット証券の口座は、郵便物が届かないことが多く、見つけにくい財産です。
スマートフォンが開けなくても、亡くなった方の通帳の入出金や、届いた郵便物・メールから、取引のある会社を探す手がかりが見つかることがあります。
手続きの書類に使う戸籍は何通取ればいいですか?
提出先の数によって変わります。
何か所にも出す場合は、戸籍を何通も取るより、法定相続情報一覧図の写しを必要な数だけもらうほうが、手間も費用も抑えられます。
まとめ
監修者
行政書士(2018年11月開業)・社会保険労務士試験合格。遺産分割協議書の作成や相続人の調査(戸籍の収集)など、相続の書類づくりに携わっています。
このサイトでは、法務局・裁判所・国税庁・金融機関などが公表している一次資料で確かめた内容だけを書いています。詳しくは運営者情報をご覧ください。
参考資料:日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」/裁判所「相続の放棄の申述」/法務省「相続登記の義務化についてのQ&A」/国税庁「相続税の申告と納税」

